長衛小屋テント泊〜仙丈ヶ岳 登山
お盆休みは、家族で南アルプスの女王『仙丈ヶ岳』に登山してきました。
今回の登山計画は、長衛小屋でテント泊し、翌日早朝に仙丈ヶ岳登頂を目指し、下山してまた長衛小屋でテント泊し翌日帰宅するという計画です。
日帰りでも行けるコースと言われているので、ちょっとゆったりとしたプランにしました。というのも、合間にフライフィッシングができるのではないかと企んでもいるからです。(笑)
お盆休み前は、山の天気予報と睨めっこ。コロコロ変わる予報に数日しかない休日にいつ山に行くか、思案しました。結局、仕事を終えたその日の夜中日付が変わった1時過ぎに出発することに。慌ただしく準備し、結局睡眠も僅かで出発です。4年生になった次男もワクワク緊張であまり寝れなかったようです。夏休みどこ行きたい?と尋ねると、「キャンプか山!」と答えてくれる。物心ついた頃から一緒に低山やキャンプに行っていたので、好きなんでしょうね。嬉しい言葉です。
AM5時半前には北沢峠行きのバスに乗る戸台パークに到着。始発は6:05、既に行列です。
自分たちもザックを置いて乗車順番を確保。チケット購入の列に並びます。
始発の4台目で乗車ができました。
バスに揺られること約1時間弱。北沢峠に到着。
第一目的地の長衛小屋を目指します。
歩いて10分程度。重たいザックでも安心の距離で助かります。
テントを2つ横合わせで張れる川岸の場所を確保。
ちょっと、落ち着いたので、早速、竿をだすことに。
テント場前でもすぐにイワナちゃん、出てくれました。
これは、期待でいいるな!
お昼は簡単に持ってきたカップラーメンとそして生ビール。自然溢れる場所での生ビールは格別です。
昨夜は、あまり寝ていなかったので、ちょっと小休止し、今度は、釣りの格好に着替えて、釣りあがります。
大物には出会えなかったものの、次々と反応があり久々のフライを存分に楽しめました。
渓流の風景にも癒されました。

夕食は長衛小屋名物のおでんともつ鍋。鍋を持参し、自分たちのテン場でいただくスタイルです。もちろんここでも生ビールを注文。締めに持ってきた餅を投入すれば、これまた絶品。最高の山ごはんになりました。

睡眠不足から始まった慌ただしいスタートでしたが、家族とのテント泊、自然に囲まれた釣り時間、そして山小屋グルメと大満足のひとときでした。翌日の仙丈ヶ岳登頂に向け、英気を養う初日となりました。

2日目の朝は5時半にテントを出発。コースタイムはおおよそ7時間ほど。山頂付近でパンを朝食に、下山後に昼食をとる計画で歩き始めました。

最初は樹林帯を進みます。コケや地衣類を眺めながら、木々の根がしっかりと斜面を支えている姿に思わず足を止めました。大地を守るのはやはり木の力。これからの土木は、自然と調和した“植栽土木”がより重要になっていくだろうと、現場の迫力に感動しました。




藪沢・小仙丈ヶ岳分岐の大滝ノ頭(五合目)に到着するのに2時間ちょっとかかりました。少しゆったりペースですが、お腹も空いたので、朝食のパンを食べることに。

苔むす山肌を横目にまずは、小仙丈ヶ岳を目指します。

ここから、ちょっと急登。
妻は、完全にペースダウン。
子供達はスタスタ先を行きます。

子供たちは、余裕で先を進み、ぼくらを待っています。

六合目を過ぎると、目の前に小仙丈ヶ岳の姿が現れました。「お〜、あそこか!」と盛り上がる一方で、仙丈ヶ岳はまだその先。

もう少しで、小仙丈ヶ岳です。

やがて小仙丈ヶ岳に登頂。そこから続く仙丈ヶ岳方面の稜線は美しく、まさに“南アルプスの女王”と呼ばれる由縁を感じさせてくれる景色でした。



さて、一気に仙丈ヶ岳を目指します。
アップダウンを繰り返す稜線歩きは爽快で、心が洗われるようでした。






山頂が目前となった頃、母は一気にペースダウン。
子供たちは母の様子を見てもう一度戻ってきてくれました。一緒に歩きながら声をかける姿に、次男の頼もしさを感じ、嬉しくなりました。(笑)


振り返っても稜線が綺麗です。

あと、少し。


そしてついに、仙丈ヶ岳登頂!


残念ながら山頂はガスがかかって展望は望めませんでしたが、家族揃って立てた達成感は何ものにも代えがたい瞬間でした。




山頂はガスがかかってしまったお詫びのように、雷鳥のファミリーが姿を見せてくれました。砂浴びする子や、近くまで寄っても逃げない仕草。つぶらな瞳がなんとも可愛らしく、心を和ませてくれました。
さて、下山していきます。
下山ルートは、仙丈小屋、馬の背ヒュッテ、藪沢大滝ノ頭経由で長衛小屋テント場を目指します。

こちらの斜面は水が豊富ですね。
おいしい山水をいただきます。

馬の背ヒュッテに到着。
当初の予定から随分と遅れてしまい、ここで昼食を取ることに。

中は素敵な雰囲気。
缶ビールも1本、いただきます!


何度か、ちょっとした沢を渡る場面もでてきます。これは、行きと違う感じで楽しい。
ほんと、水が豊富な山だと感じさせてくれます。

ちょっとした岩場、鎖場も渡り、楽しく下山いきます。
その反動で、妻はどうやら膝にきたらしい。
ここから膝痛との戦いです。(笑)

途中、鹿さんにも遭遇。

もう少しで下山ですが、ここからが本当の試練でした。妻の膝の痛みもあって、ペースはすっかり落ちてしまい、通常の3倍ほどの時間がかかったように思います。後ろから登山者が来るたびに道を譲り、そのたびに休憩のようになってしまいました。
それでも、すれ違う人たちが「もう少しですよ」と声を掛けてくれたり、中にはサポーターを貸してくださる方までいて、本当に山で出会う人の優しさに助けられました。自然だけでなく、人との温かいやり取りもまた、登山の大きな魅力なのだと改めて感じました。

なんとか無事にテント場まで帰り着いたのは、もう夕方の17時近く。
もし日帰り計画だったら、とっくに最終バスに乗り遅れていた時間です(笑)。
テント泊のプランにしておいて本当に良かったと実感。ゆっくり休みながらのんびり下山できたのも、この“余白”のおかげです。

下山してひと息ついたら、待ってました!再び長衛小屋名物のもつ鍋。持参した餅も投入。もちろん生ビールも一緒に。
自然の雄大さに感動したことや、道中の苦労話を語り合いながら、家族で過ごす時間は格別です。疲れも不思議と和らぎ、最高のひとときとなりました。
登山をするたびに思うのは、自然の雄大さや迫力、そして圧倒的な力強さです。どんな言葉で表現すれば良いのか分かりませんが、人の力で到底かなうものではありません。大地を削り、コンクリートで水や土を押さえ込もうとすることには、どこか無理があるのではないか…。むしろ自然の力や機能をよく理解し、その調和を大切にしていくことこそが、人の営みに必要なのだと感じます。
山では天候も一瞬で変わり、ガスが広がることもあります。地形が生み出す水や空気の循環の中で、コケや地衣類が息づき、生き物と気象が密接につながっていることを肌で実感しました。その美しさの裏には危険も潜み、人が到底太刀打ちできない世界――まるで神の領域に踏み込んでいるような感覚です。昔の人々が山に信仰を重ねた理由も、少し分かる気がします。
子供たちはこの登山で何を感じたのでしょうか。今はまだ実感がなくても、いつか大きくなったとき「あの時の経験」として心に残り、何かの糧となってくれることを願っています。


翌日早朝、みんながまだ眠っている時間に、ひとりで川へフライフィッシングへ。澄んだ流れに竿を振りながら、山の余韻を静かに味わいました。
こうして今回のお盆休み「ファミリー登山&フライフィッシング」の旅は終了。自然の力強さに触れ、家族で苦楽を分かち合い、釣りや山小屋ごはんまで堪能できた、最高の夏の思い出になりました。