自然環境の改善

日本では都市開発にともない、山や平野がコンクリートで固められることで、こうした土中の水や空気の流れが滞っている土地が多くなっています。近年頻発している、大規模な土砂災害も、大地が悲鳴を上げている証拠ではないでしょうか。

こうした現状にいち早く気づき、「大地の再生講座」を全国で開催されてきたのが造園技師の矢野智徳さんです。

ナインスケッチでは、自然から学び、自然に近づけた「雑木の庭」をつくる中で、矢野さんの提唱する「大地の再生」の理念に共感。庭づくりに水脈改善を取り入れるだけでなく、「庭」という枠組みを超え、「大地の再生」の実践・普及や、「大地の再生」視点での環境改善や空間づくりにも取り組んでいます。

土中には、脈がありそこには水だけでなく空気も同時に流れています。空気が滞れば、水も流れません。空気が抜ければ、水も抜ける。空気と水は常に一体で動いています。

自然災害と言われる土砂崩れも同じメカニズムで発生していると言っていいと思います。降水量が増え、下の方で空気が滞れば、水の流れも止まります。その飽和状態がだんだん上へと積み重なり、耐えきれなくなり土砂が崩れる。

根本的なところは、現代の土木には空気視点が欠けているところだと思います。土中には水だけでなく、空気の対流があるという視点で捉えることが重要です。

里山の環境改善

周辺の状況や大地の状態から、現状にどんな課題があるのか、見立てをします。

空気と水が抜けきれずに滞っていると、泥水があふれ出します。近年では一時的に降水量が大量になる豪雨が増えていますが、それだけではなく、人の開発と複雑に絡み合っているため、周辺でどのような開発が行われていたのかも把握する必要があるのです。

周囲の状況や大地の状態から総合的に判断をして、どこに空気を通して自然の機能を回復するかを見定めて改善を計っていきます。自然のことですから、すぐに解決できることは限られています。時間をかけて改善することが重要になり、なによりも人優先ではなく、自然の機能を優先してあげることが大切になってきます。

企業のCSRにもなる保全活動

こうした里山や身近な環境を保全する活動は、企業の社会貢献にもつながります。単純に企業イメージがアップするといった表面的なことだけではなく、フィールドワークを通じて、自然環境を学び、自然と共生することへの理解を深める場となります。

また、環境問題が深刻化している昨今、経済活動を続ける上で自然環境を見逃すことはもはや不可能といっても過言ではありません。経団連の「生物多様性宣言」にも多くの企業が参加し、その数は年々増え続けています。また海外では、自然環境が及ぼす価値が通貨で可視化されるなど、自然環境保全が経済活動とより密接に関わるようになっています。

今私たちが暮らしている環境は50年前の人間の活動が影響していると言われています。いっぽうで、経済活動を縮小して、今の便利で物質的に豊かな生活をやめることは難しいでしょう。だからこそ企業がビジネスを続けていく上で環境への負荷が避けられない分、環境へのいたわりや改善活動がよりいっそう重要となるのです。

こうした活動は、社員の方やご家族を含めた「学びの場」として、人材育成としても価値あるものになると思います。とはいえ、「環境に良い取り組みがしたい」と思っても、知識や経験もないところから自社で環境改善活動を一から始めるのはハードルが高いことも事実です。

ナインスケッチでは、環境改善のプロフェッショナルとして、企業や事業者の皆さんと一緒に、それぞれの企業様に合わせた環境改善活動を考え、実際の活動をサポートします。環境保全活動に興味があるけど、どのように進めていいのか分からない企業様、お気軽にご相談ください。

樹勢の回復

個人宅の敷地で昔からある、エノキとクスノキ。どちらも傷んでいて土壌改良をして樹勢回復をすることができました。

1枚目の写真(上の写真)が土壌改良をして2年近く経った写真です。2枚目の写真(下の写真)を見ると、葉の付き方が寂しく、元気がない状態です。土壌改良をすることで葉の付き方がよくなり元気になってきたのが見て取れます。さらに水脈のメンテナンスを続けることで、樹勢を保つことが可能になります。

木の元気がない。何を植えても育たない。そのような状況にある庭は、ほとんどの場合、土の中に原因があります。空気の道はあるのか、水は流れるようになっているのか、そうした自然環境をひとつひとつ読み解き、改善を計っていきます。

見えない土の中もデザインする必要があるのです。

根を張り巡らさせ、通気浸透を良くさせることで、木々は健やかに育つことができます。単純に土壌改良をするだけでは不十分で、樹木がしっかりと根を張り、その自然の力を最大限に活かすことが大切です。

土壌改良したふかふかの土であっても、周りの人工構造物などの影響が大きければ、圧によって土は締まり、乾燥したり、水はけが悪くなるなど負の連鎖に陥ってきます。庭においては土の環境、動植物の環境、人工構造物の影響の全てが絡み合って成り立っています。この辺りの自然環境をデザインして庭や外構などを作ることで、本当に心地よい住まいが実現できると思います。

古民家の再生

緑豊かな田舎や山あいに建つ古民家は、背後に自然を加味した山を背負っているケースが多く、建物の改修だけではなく、水脈を一度入れる「敷地改善」もしないと上手く再生ができません。周辺環境も含め、敷地の水脈を整えることで、空気の流れも良くなり、水と空気をしっかりと循環させることができます。

自然環境の改善をもっと詳しく知りたい方は
下記のブログ記事をぜひご覧ください
以下の団体メンバーとしても活動しています。
行政とも連携して環境改善に取り組んでいます。

当日の作業の様子はYouTubeをご覧ください

「大地の再生」や「水脈改善」について、
詳細は以下のエクステリアワークス掲載の連載記事をご覧ください