黒川温泉

雑木の庭の聖地「黒川温泉」めぐり

九州は熊本の黒川温泉に行ってきました。
目的は温泉というより、庭を見たくて。黒川温泉は、雑木の庭の聖地と言っても過言ではないと思います。
数年前にも庭を見に行ったことがありますが、その時も感動させられたのを覚えています。
その感動をもう一度、その時と違う感じ方があるのではないか?普段作っている雑木の庭の答え合わせをしたく回ってきました。

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門構えからこの佇まい。
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門をくぐれは、木陰がたっぷり。そこに差し込む光が客人を迎えてくれます。
最高のお出迎えではないでしょうか?!
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エントランスまで左右前後どこを見ても緑に癒される空間。
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どこを切り取っても絵になります。
建築だけでは決してできない、この空気感。
日常のメンテナンスは欠かせてないのだと思いますが、手を入れるとどうしてもやり過ぎてしまうことがあります。でもそのメンテナンスもやり過ぎない。木々や自然に任せるようにしているのだと感じられます。なんと言っても優先種が良いような気がやっぱりします。林冠をつくるコナラなどが環境を作ってくれているのでしょう。大きくなると倒木が心配だとか伐採してしまう傾向があります。でも、それも日々のちょっとしたメンテナンスや気遣いがあれば木々は健康に保てます。倒木も心配いらなくなります。むしろこれらの高木がここの庭や建物を守っている。これらの高木が生命線だと言わんばかりのように感じられます。
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他の温泉宿に行っても雑木の庭がまず迎えてくれます。
どこから作った庭なのか自然なのかもはやわからないですが、この木々を何よりも優先に考えられているように思われます。
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建物が雑木で見え隠れし、木々に包まれる建物の佇まいに脱帽させられます。
これが本当の建物と緑の調和というものなのでしょう。

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そして、このスペースにこれだけのコナラの数。
やっぱり、コナラだよな!
コナラがないと雑木の庭が成り立たない。コナラの力を借りなければならないんだ。僕の庭もコナラは必ず入れていますが、ここで確信へと変わります。
また、太くしていいんだよね。
幹の太さに対しての林床の優しい木々が生きてくる。まさに自然の美。この相互作用が掛け算的に美しさを演出してくれます。
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こちらはまた、違う温泉宿ですが、
庭が住まいの建築に対してどうあるべきなのか、模範解答のような庭と建築の関係性。
木々が建物の高さを超えていいんだよね。どこの高さで木々を止めるのか?お施主様も高くなりすぎると心配になることもあります。
でも、高くすればこれだけの自然の恩恵を受けれるのです。
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そして足元は凛とした風景が作れる。

黒川温泉、大変勉強になりました。
作った庭がもう自然化しているような感じですが、それを計算して植栽計画をされていたのだと思います。
植栽したら決して終わりではない雑木の庭。その後の管理をしながら庭を育てていく、決して見た目だけで手を入れるのではなく自然を優先する、人が一歩引くぐらいの気持ちが大切だと感じさせてくれます。そこには、作り手だけでなくそこに住まう人、宿の人などのご理解もやっぱりもあってこそだと思います。
他の温泉宿も今回、回りましたが、高木をぶつ切りしているところもありました。そこの庭はやっぱり、ん・・・。という感じ。

今回学んだことをこれからの現場に生かしていきたいと思います。
いつか、こんな温泉宿の庭づくりもしてみたいです。

2022-09-17 | Taged in | Posted in ブログNo Comments »