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『大地の再生講座 結の杜づくり』 in 浜松天竜  開催に向けて

ぼくは、今、『雑木の庭』という切り口で庭作りを通して心地良い空間や住まいの提案ができればと思って仕事をさせて頂いております。
その為にはまずは木が健康に育ってくれることが大切だと思っております。木が健康に育ってくれれば自然と我々人にも心地良い環境を与えてくれるものだからです。
では、木が健康に育つためには・・・と考えると自然に学ぶことが一番。心地良いと感じる山、落葉高木が優先の二次林の山はどんな植生をしているのかなど、なるべく作り過ぎずに自然の山に近づけることが大切だと思います。

自然の山のように高木、中木、低木と階層的に植付け、樹種も習って選定したりと心掛け、そして土壌改良もしっかりとして植栽するのですが、それでも樹々が痛んだり場合には枯れることもありました。
千葉の高田造園設計事務所の高田さんとのご縁もあり矢野智徳さんの『大地の再生講座』に出席させて頂いたことがありました。それは、衝撃的で目から鱗の話しばかりでした。そこにはとても大事で見逃していた点があったのです。『大地の水脈』という視点です。高田造園設計事務所さんのフィールドでの大地の再生講座の様子

人間には血を流す血管というのがあります。大地には水を流す水脈というのがあります。人間の体内は6割程度水分と言われている中、大地にも人間の毛細血管のような水脈が張り巡らされています。目に見える川としての水はほんの極わずか。水は表面に出たり大地の中に入ったり、水脈を通して行ったり来たりしているのです。
人間は血管が詰まると死んでしまいます。大地も水脈が詰まると死んでしまうのです。
水脈の水の流れは空気と表裏一体で動いています。ペットボトルの水が外に出るのと同時にペットボトルの中には空気が入ります。水脈が詰まるということは水が滞り、空気も滞ってしまいます。空気が無ければ酸欠状態になり土はグライ層になり有機ガスを発生してしまいます。そんなところには微生物や小動物は住めなくなり、ましてや植物の根は伸びることができません。根が伸ばせられないということは樹々は痛んできてしまいます。木が健康には育つことができないのです。
その視点が欠けていました。いくら土壌改良をしたり肥沃な土を入れても土は硬くしまってしまうことがあります。大切なのは土中の水と空気の流れということです。水脈の視点がとても大切なのです。

それに対して現代土木は人間都合によって道路はコンクリートやアスファルトで覆われ、土留めはコンクリートになり、川や水路はコンクリートの3面張りになり、大地は呼吸が難しく、コンクリートによって水脈は遮断されてしまっています。かつての住まいは土や石や木などの有機的は材料で空間作りが行われていました。土の中は空気と水が通るようになっていたのです。土木という字を見ても土と木です。本来は有機的な材料を使いながら作るのが土木だったのではないでしょうか?!矢野さんはこんなことも言っていました。『このまま大地の状態を放置していけば色んな形で社会に影響を及ぼす。例えば0157のような生物的なマイナスが起こったり、災害的に大地の環境が悲鳴を上げてくるか。もしくは、人間達がつくりだす社会のシステムに異変をおこして、戦争とか経済恐慌とかが起こってくるかもしれない。
いずれにしても何らかの引き金で人が住めない社会になってくる。』

そんな矢野さんの話しを浜松のみんなにも聞いて欲しい。浜松の大地環境を改善してほしいと思い、動きました。
そして、先日、浜松での『大地の再生講座 結の杜づくり』開催に向けて、矢野さんに浜松の天竜の山を視察して頂きました。
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フィールドは天竜の山できこりをしている前田剛志さんの山です。前田さんは「TEDxHamamatsu」に出演されています。こちらをご覧下さい。
ここは、室町時代から続く集の中で築200年は経っているのではないかと言われる古民家もあります。天竜の山は9割杉、ヒノキの人工林という中でここは広葉樹も少し残っている里山になります。樹齢500年と言われる杉もあり先人たちは木と共に暮らしていたことがわかる学びには格好の場であると矢野さんからのお言葉も頂きました。
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しかし、そんな山も東京オリンピックからの高度成長の50年間で大地は痛め付けられ悲鳴をあげていると言います。
山のある部分は、道路の部分でコンクリートで止めたが為に深層崩壊を起こしてくる、1時間100mm越える集中豪雨が続けば土砂崩れがおこる可能性も考えられると言います。
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水と空気を抜いてあげないといけない。
今は、根の深い木が支えてくれている。
しかし、そんな木も涙を流す様に幹割れして汁をだしている。これは、根の呼吸力が落ちているから。
幹に水があがっていたところが上げきれなくなってひび割れをおこしている。これを自分で修復しようとして油を出している。(これが涙のように見えます。)でも、これが効かなくなった時、割れてそこから虫が入ってきて枯れたり倒れたりしてくる。どんどん、山が崩壊に向かってしまいます。

大地は苦しんでいます。先人の自然と共存する生き方を学び手遅れになる前にみんなで大地の再生しましょう。それは、移植ゴテ(小さいスコップ)からできるのです。女性でも子供でも。
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講座の日程など詳細が決まりましたらご連絡致します。

最後に矢野さんからのメッセージになります。

~「大地の再生講座 結の杜づくり」に向けて~

日本の各地で、
傷んできた大地の再生講座をひらかせてもらうようになり、
大地の再生は、関わる四者の結い作業(協働作業)によって
成り立ってゆくものだと 改めて思うようになりました。

一. 杜の園芸
二. 講座の参加者
三. 講座で関わる地域(人社会)
四. 講座で関わる自然(生き物社会)

杜の園芸と参加者の方だけのギブ&テイクでは終わらない。
その学びと改善の余波は、直接流域におよび、
その場とその周囲に影響し合う責任を
問われてゆくことになるでしょう。
 

“結の杜づくり”
それは、まるで おまつりのおみこし担ぎのよう。

−− 誰かがつかれたら誰かが入れ替わり、
力のある人・ない人 それぞれに力の流れをつむいで
おみこしは進んでゆく。

命の作業は、
あわてず、あせらず… でもゆっくり急げ。

人だけが楽しむのではなく、
みなが力を出し合う、ささやかな結い作業によって
命はつながってゆく。 −−

それは、小さな動きから大きな動きまでが連鎖してゆく
自然の生態系の動き・流れそのものに重なります。
 

そもそも「杜」の語源とは、

−− 人が森の神に誓って
「この場を、傷めず、穢さず、大事に使わせてください」
と祈りを捧げて、ひも(紐)張って囲った場、を意味する和語 −−

と、ある本に記されていました。

 
この大地の再生講座(学び)が
願いや想いだけにとどまらず、具体的な
大地の要である水脈機能(大地の空氣と水の循環)を回復するための、
人と自然との協働作業(結)として
一歩一歩つむがれてゆくことを願い、
今年もスタートしていきたいと思います。

 
杜の園芸 矢野智徳

呼吸をしている限りは、まだ間に合う。大地の再生

風土を再生する〜里山整備の視点
 (京都の神木クスノキの樹勢回復・環境改善工事の変化が
 わかりやすい写真が掲載されていますので 是非ご覧ください。) 

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