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台風15号被害状況報告〜静岡県牧之原市大地の再生講座のフィールド〜

台風15号の影響で静岡県一帯では、9月23日の夜から24日の朝方にかけて猛烈な雨が降りましたね。
それによって、土砂災害、川の氾濫、浸水など、各地で様々な被害に覆われたことになりました。
被災された皆様の生活が1日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。
僕自身は幸いにも家、家族共に問題はありませんでした。いつも通り仕事に向かったのですが、事務所へ行く道中、冠水によってまだ通行止めのところがあったり、友人のSNSの投稿を見ていると、結構、酷かったんだなと遅ればせながら感じました。
というのも、事前の天気予報を見ていても台風って言っても今回はそんなにひどくなさそうかな?と予報を鵜呑みにしていたところもあったからですね。
しかし、ニュースを見ると線状降水帯が発生し、わずか半日で平年の9月1か月分を超える記録的な大雨とのことでした。

24日の日中、くわひとつのメンバーでもある鈴木さんからメッセージをもらい、定期的に開催している大地の再生講座でのフィールドが土砂崩れを起こした。とのこと。
その報告を受けて夕方伺ってきました。

道中、付近の川も氾濫した様子が見受けられました。
橋の手すり部分に流木が引っかかり、水が行き場を失い、溢れ、水圧に押され、コンクリート舗装が剥がれたようです。
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こういったケースは結構、多かったのではないかと思います。
これがまた2次被害を引き起こすのだと思います。
本来水が抜ける川がここで詰まることによって、山の谷筋にもずっと水が抜けずに溜まり出してきます。山の斜面の土はたっぷりと水を含み飽和状態になってきます。そして、何かの拍子で飽和状態になった土が丸ごと滑るように落ちてくるのではないかと思われます。

そんなことを思いながら、mori to miの山につきました。
鈴木ご夫妻に案内してもらい、まずは、ため池の様子を拝見。
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普段、この位は溜まることは、あるそうだが、いつもと水の濁りが違うと言います。
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オーバーフローのために掘っていた脈にも水がたくさんきた模様です。
深くえぐっていた様子が伺えます。

ため池の奥の谷筋に進んでいきます。
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泥あくが流れ込んだのがわかります。

さらに奥へと進むと

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土砂崩れの現場です。

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見ると、腐植層の下の基の岩盤層が現れています。ここで滑った模様。
シイの木の根の張りが弱く、深くまで根が伸びれてなかったのでしょう。
ただ、これも、その下の谷筋が詰まっていたからだと思います。
谷筋で本来は水と空気が抜けて循環していくはず、しかし、詰まっていたから一番水と空気が抜けやすいシイの木の根っこ部分から水と空気が抜けたのでしょう。あれだけの水量ですから、谷筋から水が溜まり斜面まで腐植層いっぱいに水が溜まり飽和状態になり根っこ部分から水が勢いよく抜けそれと同時にその下の斜面の土を崩していったことが予測されます。
行きの道中に見た川の氾濫で感じていたことです。

残されたシイの木の枝葉を見てみると、枝先は垂れ下がり不安定な様子。
いずれこの枝も折れるかなという印象。
そう、それだけ、土中の環境もよくなかったのです。
昔は、枝葉を広げていた分、根っこも同じように伸びていたと思います。
でも、土の中は通気不全になり、根は衰退し、それによって枝葉も小さくなろうとしていたのだと思います。
この無言の訴えに気づいてあげれなかったのが悔やまれます。

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もう一度ため池部分に戻ります。
オーバーフロー、空気の通り道のために2経路脈を掘っていました。
でも、それ以外のところからも泥が溜まり水が溢れた様子が見受けられました。
これも原因の一つかな?と思います。
ため池で留めすぎてしまったのか?!それが波動のように谷筋の奥地へ伝わり、土砂を崩したのかと。
もう少し、抜きの機能があれば、崩壊は防げたのか?とも思われます。
次回、ここにもう一本脈を通すことにします。
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気象庁の潮見表を見てみると、
26日が新月なのでちょうど24日から大潮に入る日、24日の満潮は朝方4時11分。
雨が集中していた時間帯が大潮の満潮に向かう時間帯。つまり、海から陸へ潮が満ちてきて、出口を塞ぎやすい時間帯。
いろんなことが複雑に絡み合って起こった天災だと思われます。

他の谷筋も見ていきます。
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今まで、多少なりとも凸凹があった地形は泥で埋め尽くされ平坦となってしまいました。
鈴木夫妻は、「なんか違う山に入っているみたい」と言われていました。
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今回、数カ所、そこまでは大きくない土砂崩れが見られました。

これを、記録的な豪雨だから仕方ない。
と一言で済ませていいのだろうか?!
健康的な山の状態だったとしても結果は一緒なのか?
決してそうではないと思います。
木々の張り、ツヤ、根の状態、土の状態、風通し、空気感など感じるものはやっぱりちょっとおかしい。
一見心地よい山だと感じれれるが、本当はもっともっと心地よい山だったはず。もっと健康的な山だったはず。
では、なんでこうなってしまったのか?
山が呼吸できなくなってしまった。呼吸不全になっている。
そこが一番の原因だと思います。
では、それは何が根本的原因なのか?
人によっての開発が主だっているのではないか。
コンクリートやアスファルトで空気と水が循環する脈を遮断し、山は酸欠状態になってしまっている。
大地の血管である空気と水を通す水脈をコンクリートやアスファルトで抑えてしまっているのです。
自分の体に当てはめて考えてみるとイメージしやすいです。
自分の体中に重たいコンクリートが常に乗っかっていたらどうでしょう?血管を圧迫していたらどうでしょう?
苦しいですよね?病気になりますよね?
もがきたくなりますよね?
大地も一緒です。
呼吸できなくて苦しいからもがいているのです。もがいて、土砂を崩して、もう一度呼吸できるように安定しようとしているのです。
人から見れば、土砂崩れという災害ですが、
自然から見れば山が大きく深呼吸しているようなもの。マイナスではなくプラスの現象になると思います。

そして、今回、感じたのは、
大地は、やっぱり脈で繋がっているといこと。
間違いないですね。
脈のつまり、遮断が問題を引き起こしていますね。

と言っても、コンクリートなどを決して否定している訳ではなく、ただ、大地も呼吸できるようなケアをして共存できるようにしていくべきだと思うのです。

10月9日ここの山で大地の再生講座を開催します。
こんなお話をしながら、改善作業をできればと思っています。

流れてきた、幹や枝、石は絶妙にしがらみ、空気と水を通しながら安定しています。
土砂崩れで邪魔だからと言って安易に全てを片付けてしまうより、自然の水が置いていった木や石を頼りに脈沿いを開くように土をちょっとあげてあげ、更に崩れそうなところを、その自然の組み方に習って、土留をする。
あとは、ため池の出口をもう少し増やしてあげようと思います。

講座の方も気軽に参加くださいませ。
結の作業も感動しますよ!
お待ちしてます!

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