大地の再生

古民家再生:自然との共生を取り戻す

コロナ禍を経験し、オンラインの可能性が広がる中、多くの人々が都会の生活を見直し、自然に寄り添う生活への関心を高めています。自給自足や半農半Xの生活、古民家での暮らしなど、自然の恩恵を受けながら、歴史や伝統に触れることに価値を見出す人が増えています。しかし、田舎への移住や古民家の再生には、その土地の自然環境や歴史を理解し、建物や敷地の問題点を正確に把握する必要があります。

古民家や伝統的な建築物の再生は、建物本体の修復だけでなく、その土地や環境全体への深い洞察が必要となってきます。このプロセスでは、水と空気の流れ、水脈環境の調和が、建物の長期的健全性にとって不可欠な要素になります。古来から、人々は生活に必要な水を確保するため、自然の恵みが豊かな場所に住まいを構えました。こうした場所では、水が湧き、空気が循環が良好で、生き物が息づく環境が自然と形成され、作物の栽培にも最適でした。

しかし、高度経済成長期以降の無計画な開発により、これら自然のバランスは大きく崩れました。道路建設、ダム建設、河川の護岸工事などにより、水脈が遮断され、古民家の床下に水が溜まり、建物が沈下し、畳が湿気るなど、様々な問題が引き起こされています。これらの問題は、単に建物を修理するだけでは根本的な解決には至りません。

解決策を探るにあたり、まずは敷地や周辺環境の深い理解が求められます。空気と水がどのように停滞し、どこで問題を起こしているのかを五感を使って、大気中の空気の淀みを感じ取ったり、土の表情を見たり、足の裏で硬さを感じたり、場合によっては土の匂いも嗅いだりと感覚測定し分析する必要があります。問題が明確になれば、地中の空気と水の通気性と浸透性を高め、自然の機能を取り戻すことが重要です。これにより、植物の根や虫、動物が生息し始め、大地が安定します。古民家自体も再び「呼吸」し、建材の傷みが修復され、持続可能な再生が可能になります。

水脈環境の整備には、サイフォン原理の理解も役立ちます。サイフォンは、一方の容器から別の容器へ液体を移動させるために空気圧を利用する仕組みです。この原理を自然環境に応用することで、水と空気が一体となって動き、生き物が息づく環境を育んでいます。例えば、地形に落差を設けて水の流れを促し、有機物を利用してその流れを安定させることで、水脈環境を自然に調和させることができます。



また、古民家の基礎をコンクリートで固めるのではなく、空気と水が浸透しやすい材料を使用することで、水脈環境への圧迫を避け、自然との調和を図ることが可能です。

このように、自然と調和しながら古民家を再生することは、建物を修復すること以上の価値を持ちます。それは、自然の力を理解し、その力を生活の中に取り入れることで、持続可能で豊かな暮らしを実現し、地域社会の活性化にも貢献します。

 

ゆの里露天風呂緑化工事 36時間の耐久工事

大地の再生工事で畑や駐車場エリアの環境改善に入らせていただいている和歌山県のゆの里。
今回は、露天風呂のバルコニー緑化の工事をしてきました。
休館日を利用して、ゆの里36時間耐久露天風呂緑化工事(笑)なんとか形にすることができホッとしました。

写真は、資材搬入時の様子。
建物角のすりガラスのところに緑化していきます。

見積りのご提案も間近になってしまい、矢野さんとの打ち合わせを十分にできず、材料の手配もギリギリでなんとか揃い、人員もなんとか集まり、不完全ながらも綱渡り状態で着手できたことにひと段落できたのは束の間。
資材調達班は17時に集合、そのほかのスタッフは夜間21時集合し、22時に全員で館内の養生、24時頃から作業開始。開始早々、あれ?軽石がない!必要資材リストから漏れていたことが判明。僕のミス。夜中にホームセンターなんかやっていないし。。。いきなりトラブル発生で焦りました。矢野さんに報告し、竹を細く刻むことで代用することに。なんとか、このピンチを乗り切り、ラフターで樹木など資材をどんどん吊り上げます。


1日目、朝日が昇ってきました。朝焼けが美しいですね。
そんな、呑気なことは言っていられず、A班B班に分けたチームで代わり代わり作業していくも途中からヤバイ、これは間に合わないんじゃないか?!予定の休息時間も早々に切り上げ全員出動。みんなフラフラ状態(笑)矢野さんはというと、A班B班入れ替え時に少し休んだだけ。ほぼ、ぶっ通し作業。そう、コンクリートの上の植栽は、脈づくりが肝。そして、高木の配置バランスは矢野さん頼りになってしまう。裏返せば、まだだま僕らスタッフの力には任せられない分、矢野さんへの負担が大きくなってしましました。

2日目真夜中になり、みんなの体力的も厳しい状態になり、休憩しながら人員をどうするか?のミーティング。もはや、今何時なのか感覚的にも麻痺している。結局いける人はいく、休む人は休む的に(笑)矢野さんも含め作業開始。
しかし、ほぼぶっ通しで作業していた矢野さんも限界。「あとは任せました。好きなようにやってください。少し休みます。」と、どこの現場でも矢野さんが先導切ってやってきていたけど、さすがの矢野さんも思う通りに体がいうこときかなく、僕らで引き継いで作業を進めていきたました。
矢野さんが決めていった高木に中低木をあてがい、木々の重心が安定していくように石や杭などを使い、植えていくというより据えていく。床面に芝生を敷く、それもしがらんでいくように芝生と芝生を重ねていく、ところどころ点穴的に張らずに開けておくところも残しながら。植えた植栽の根鉢周りに枝葉など有機物をしがらませていく、そして、目地的に石や砂系資材を適度に入れていく。有機物の割合を多く占め、土系は造園的常識からすればほんのごくわずか。植栽に土が必要なのか?それとも空気循環が必要なのか?造園業界に問いただす施工をしていきます!

ひとまず、区切りになり、再び矢野さんを起こしにいく。

矢野さんがいない間の作業について、「なんか、できてるね。いいんじゃないの」と言ってくれた時には安心しました。
その言葉の後は疲れがどっと出てきて、矢野さんの話の最中に僕もドロンさせてもうることに。2時間ほど休ませてもらい、起きたら、養生はがし始める班がいたり、矢野さんは最後の仕上げ作業。6時になり掃除するゆの里の方も来始め、ご迷惑かけながら最終作業。

なんとか、形になりました。


手直しは必要ながらも完成できたことが奇跡に近いじゃないか?と思える現場でした。



手直しは必要ながらも完成できたことが奇跡に近いじゃないか?と思える現場でした。

最後のまとめで矢野さんの話では、「体がどうにもならないあの時間帯から寝て起きて戻ってきたら、なんかできていて、、、それが今回の貴重な収穫だった。前半は一番難しい脈の機能を抑えるところがどうしてもスピン仕掛けていた。大詰めの段階でゴールが見えてきた段階で、みんながやっと真剣に向き合ってくれて、、、
学びの段階であっても、育ててる途中の段階であっても、それを活かす段階になっても、自分自身が息づいている世界と向き合えているのか、ここがポイントで、なんか、ここを今回は突破してくれたなー、土壇場になって逃げられなくなって、現実に立たされて、やっと息をしないといけないその自然のしがらみの世界にやっとみんなが入ってくれたんじゃないかな?と思わせる結作業になったなと感じさせてくれる現場だった。」
この言葉を聞いて、なんか、ジーンとしてしまいました。やってよかった。挑んでよかった。命をつなげたんだな。と安心できた時でした。

と思いながらも、自分自身は、どうなのか?と問いただしてみると、やっぱりまだまだなところはあり、この程度でいいんじゃないかと思って、もう一歩踏み込めない自分がいたりするのが明らかになった現場でした。矢野さんをゆっくりと休ませることがまだできない。任せてもらえる位のレベルにもっていかないといけないんだなと、課題も見つかった現場となりました。

今回の現場は、無機質なコンクリート、老朽化した建物に有機物を組み合わせれば呼吸できる空間をつくれる。それが実現できた現場でした。
そして、ひび割れも見られる老朽化したコンクリートの建物に対して、植栽がそれを破壊的に作用するのか、コンクリートを守るように働くのか、そこが問われる工事となりました。

全体的に空気と水が循環するように脈が機能すれば、ひび割れに根が壊すように侵入するのではなく、根が全体的に一様に広がるようにし、ひび割れを守るように働かせる。ここが今回の工事でポイントでした。

ゆの里の社長も話をしてくれました。
これまでの研究で土と土の間には水があって、オーガニックマターが入ると水の中にサイクルが生まれるのがわかってきました。やっぱり有機物が、欠かせない。今回は相手がコンクリートだから土との境界のところでどう折り合いをつけるのかということですよね。とおっしゃいました。

コンクリートの上で息のしやすい循環の機能を作り、それを保つことができるのか、そしてコンクリートを守ろうとするのか壊しに行くのか、生態系の循環機能をコンクリートの上で植物と有機物、土と石のバランスをみて作っていくことが最も重要でここで必ず抑えなければならない難しい工事となりました。

これが、本当に機能すれば、建築界の大きな課題を生態系の循環機能でカバーすることになる、夢のような話になってきます。
この後、これからあの植物たちがどう息づくのか、見守っていく必要がありますね。

しかし、結作業はすごいですね!
みんなで、乗り切った36時間プラスα!
不可能かと思われたことを可能にできる!
ありがとうございました♪

 

2023-03-13 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

浜松市主催 『大地の再生講座』 四ツ池の森にて開催 2月12日(日)

浜松市からお声がけ頂き、浜松市所有の雑木林で『大地の再生講座』を開催させていただくことになりました。まずは、単発の講座ですが、行政が注目してくれたことは嬉しく思います。
昨年は浜松シネマイーラで『杜人』の上映があり1週間で記録的な動員数になり、その後9月には台風15号の災害。大地の再生の視点が必要だと映画を観た人には感じてもらえたのではないかと思います。

自然をコンクリートなどで力で抑えつけるだけでは太刀打ちできない。うまく有機物などを使い、自然の力を逆にかりる開発がこれからは必要だと思います。

災害の事例を取り上げながら座学と合わせて手作業改善をできればと考えております。

誰でも参加可能で無料です。ぜひ、お気軽に参加くださいませ。

詳しくは、下記まで
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/ryokuka/event/ikusei_koza.html?fbclid=IwAR1–qUmtQWoMpyuOiw5R9WHprfcZOi5qOWsP-YdoGa1Z0YMiYDiRXjVNgQ

 

土砂崩れの応急処置、牧之原市大地の再生講座  

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先日、定期的に開催している牧之原市 mori to umiさんのフィールドで大地の再生講座を開催しました。
数えればもう11回目。でも今回は、今までと違ってちょっと特別な回となりました。
それは、台風15号で各地で土砂崩れや洪水の被害を受けたあとであり、ここのフィールドも数カ所土砂崩れが起こってしまいました。
それを踏まえて、なぜ土砂崩れが起こったのか、起こったらどう処理していけばいいのか?!今回は、それがテーマとなりました。

前回のブログもご覧ください。なんで、土砂崩れが起こったのか、書いてみました。

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これら土砂崩れの原因は、簡単に言えば、抜きの機能が弱まってしまったからだと思います。
言い換えれば、本来水と空気が抜けないといけないところが滞ってしまったから、詰まってしまったからだと思います。
この山で言えば、ため池部分です。
マーカー敷地周辺図
この山のため池は、谷筋の終点がため池になります。
また、このため池から更に下に水路が流れています。
水路には開渠としてはつながってはなく、地下水脈を通じてこの水路に流れ出るところは目で確認でます。
昔は、このため池の水を水路を通じて下の田んぼに利用されていたようです。
今では、その田んぼはグラウンドと建物が建ってしまっています。
要は、そもそも、水路への排水機能が弱いのと、田んぼは無くなってしまったので、水と空気の抜けの機能が弱くなっていました。

今までの大地の再生講座でその水路では、溜まっていた泥あくを掻き出したり、ため池の外周を溝掘りして水と空気を動かして、下への浸透力を増すメンテナンスを行なってきました。また、ため池からのオーバーフローも2本通していました。
しかし、結果、それでも土砂崩れが起こってしまった。

それは、なぜだろう・・・。抜きの機能がオーバーフロー2本だけでは足らなかったのか?!

そんな目で現場を観察していたら、やっぱりそうでした。

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ため池からオーバフローして泥が溢れ出ているところがありました。
水と空気が抜けきれずに滞っていたのです。
留めすぎて、泥水が溢れ出たのだと思います。

昔は、田んぼの利用もあり、水を吐かすところがあったからよかったのだと思います。
その田んぼも埋めてしまい、ため池だけが残されてしまった。
ため池に溜まりに溜まった水は溜めきれずに 泥と一緒に溢れ出ていました。そして、谷筋に水がどんどん溜まっていく。
斜面にも水が溜まり、斜面は、水をたっぷりと含み飽和状態になり、耐えきれなく崩れたのかなと予測できます。

今回の土砂崩れは、一時的な降水量としては観測観測史上最もな降水量だったと思いますが、それだけではなく、人の開発と複雑に絡み合った天災だったと思います。人の開発は、経済的にも暮らしにも欠かせないものだと思います。それを単に否定しているわけではありません。
ただ。人の開発によって自然を傷めつけるならその分、人が自然環境をケアし、メンテナンスする必要があるのだと、今回を通して改めて感じました。

今回の土砂崩れの応急処置として作業することは、まずは、その詰まりを抜いてあげること。
下の排水路に流れ溜まった泥あくを掻き出し、崩れてしまった法面を、空気と水が抜けながらも安定できるように有機物を使って土留めをすること。
空気と水が抜けるということがポイントだと思います。
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そして、ため池から排水路へのオーバーフローの脈をもう1本追加しておくこと。
いざという時のためと、谷筋から集まる空気が抜けやすくなるので、水循環もよくなると思います。
空気が抜ければ水も抜ける。
灯油をタンクに移す時に使う、赤いシュポシュポ、あれは、空気が動くことで液体が動きますよね。
空気と水は一体に動いているので、水を動かしたいなら空気を動かすことが大切だと思います。

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深い脈ができたとこは、人も通るので、丸太で橋をかけました。
人のためには、脈がない方が歩きやすいです。しかし、人優先ではなく、自然の機能を優先してあげることが大切だと思います。

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谷筋の元々あった小さな脈も泥で埋まってしまいました。
ここを、みんなで脈を掘りため池まで繋いでいきます。

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実際崩れた場所に着いた頃にはもう時間はありませんでした。
時間がない中でできることをやっていきます。

土砂崩れは、山が呼吸不全を起こして、呼吸しやすいようにもう一度安定した地形を作り直すのが土砂崩れだと思います。
人から見ればマイナスの出来事。しかし、自然環境からみればプラスの働きではないでしょうか。
流れてきた木と石と土を絶妙に組み合わせて置いていきます。それが、空気も水も通りながらも安定している地形を作っています。
だから、これらを全て撤去してしまうのは勿体無いというか、御法度ではないかなと思います。
自然が置いていったものを基本に脈上に空気と水の流れを邪魔してそうなものだけをチェーンソーなどで撤去してあげます。
このままだと雨が降ればもう一度表層の土を流していきそうなところを丸太と杭を即席作って土留めをします。
この時も、やはり、空気と水の流れを意識します。丸太の向きを互い違いに水が蛇行するように組んでいきます。
水が表層で走ることのないようにしっかりと浸透するように仕立てていきます。そうすれば、水だけでな空気も浸透し、生き物が生き継ぐ土壌環境へと変わっていきます。すると、微生物から菌糸、小動物など生き物がよってきて、されに空気が通りやすく、眠っていた種子なども発芽し根が張り地形が安定してきます。
人ちょっと、プラスの働きに舵をとってあげればきっとあとは自然が勝手に再生してくれる。
それだけでいいと思います。

土砂崩れの応急処置としてやってはいけないのは、土嚢袋などで、全て土を留めてしまうことだと思います。
水と空気を止めてしまえばまた崩れる力が働きます。
土嚢を使うなら、ずらして置いて水と空気が抜ける道を作ってあげるなどした方がいいのかなと思います。
溝を掘ったり、穴を掘ったり、より水と空気の抜け道を作ってあげることが応急処置として大切なことかなと思います。

この、土の中でも空気と水の対流している気象環境があるということをたくさんの人にも知ってもらえたらと思います。
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杜人(もりびと)〜環境再生医 矢野智徳の挑戦
この映画を見てもらいたいです。

11月19日(土)菊川市の小菊荘で自主上映会を開催いたします。
そのあと、簡単なフィールドワークも開催します。

ぜひ、お越しください。
申し込みは、こちらからよろしくお願い致します。

 

大地の再生の活動がとうとう明治神宮まで届きました。

〜明治神宮での大地の再生講座〜 
大地の再生活動がとうとう明治神宮まで届きました。

ガールズスカウト小学生から高校生まで100名を越える子供たちを対象に環境学習の話が来て矢野さんのお手伝いに行ってきました。
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明治神宮は聖域
明治神宮は創設以来ずっと本多静六さんの言葉
『森(杜)は人が侵すべからず、触るべからず』
という伝統が続いていて、森は人の手を入れることができない状態です。
この言葉だけが残ってしまい、森は深刻な状態でありました。
きっと100年前の環境ならそれでよかったのかもしれません。
100年前からだと今現在の環境状態は予測できなかったのかもしれませんね。
自然は、自ら再生していく力はあると思います。植生も遷移していき自ずとその環境に合わせて変化していくものだと思います。

当時の写真が明治神宮HPより抜粋致します。
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当時、全国から10万本の献木が運ばれ、11万もの人が奉仕作業に汗を流していたそうです。

しかし、今の状態は、ナラ枯れがひどく進み、枝は枯れ、倒木も多く見受けられます。
人の開発によっての悪い影響が出てしまっています。
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これが、明治神宮だけでなく皇居にも及んでいると言います。
https://mainichi.jp/articles/20221014/k00/00m/040/105000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20221015

それに対してカシナガトラップとカシナガホイホイを使用して対策をとっています。無農薬で他の生き物たちには影響がない。とありますが、根本的な解決には至らないのではないかな。
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参道は人の踏圧によって締め付けられ、排水路は泥アクで詰まり、本来、川があっただろう水脈は泥で埋まりもはや溝もわからない状態。
溜池は泥水になり、底も泥が溜まり池底が嵩上げされてる状態です。
大地の血管である水脈が詰まりにつまり、土中は酸欠状態。呼吸ができなくて木々は苦しんでいる。根も伸ばすこともできず、しっかりと空気や水、ミネラルも摂取できない。木肌はカサカサの乾燥肌、そこにこことぞばかりに虫は寄ってくる。免疫力が落ちた木にはもはや抵抗する力は残っていません。健康な木なら自分で脂を出して対抗できるはず。
わかっていても何も手を出せないのが心苦しいです。

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泥アクが流れてしまっています。
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枯れてしまって、倒木しているのが多くみられます。
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低潅木は藪化状態のところもあります。

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しかし、モグラが土中を改善してくれるところも見受けられました。
子供たちには、このモグラの穴が何を物語っているのか話をさせてもらいました。
モグラは生きていく中で、土中に穴を掘り空気を通してくれている。
モグラだけでなく、アリやセミやミミズやイノシシなど小さな虫から小動物など生き物が空気の循環を整えてくれ、通気の良い土を作り植物の根も健全に伸ばすお手伝いをしています。
人だけがちょっと違った自然との付き合い方になってしまっています。
でも、今のこのマイナスの連鎖を人が少し穴を掘ったり、溝を掘ったりして水と空気が動きやすいようにしてあげれば、プラスの方向に転換していきあとは、虫や動物や植物が手を組み良い方向へと変わってくれるはずです。
そんな話を子供たちにもさせて頂きました。
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今回は、参拝の一環として矢野さんによって解説してもらいながら散策をしましたが、聖域のため移植ゴテの手作業のデモンストレーションも叶いませんでした。
100名を超えるちょっとした移植ゴテでの表層の改善だけでもできていたらまた違っていただろうと思います。

少し、残念に思いますが、最後に子供たちらの感想を聞き、すごく関心を持ってくれたのがわかり、嬉しく思いました。
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矢野さんの顔も嬉しそう!

これから大地の再生の視点が次世代に繋がっていくと思います。

2022-11-01 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

台風15号被害状況報告〜静岡県牧之原市大地の再生講座のフィールド〜

台風15号の影響で静岡県一帯では、9月23日の夜から24日の朝方にかけて猛烈な雨が降りましたね。
それによって、土砂災害、川の氾濫、浸水など、各地で様々な被害に覆われたことになりました。
被災された皆様の生活が1日も早く平穏に復することをお祈り申し上げます。
僕自身は幸いにも家、家族共に問題はありませんでした。いつも通り仕事に向かったのですが、事務所へ行く道中、冠水によってまだ通行止めのところがあったり、友人のSNSの投稿を見ていると、結構、酷かったんだなと遅ればせながら感じました。
というのも、事前の天気予報を見ていても台風って言っても今回はそんなにひどくなさそうかな?と予報を鵜呑みにしていたところもあったからですね。
しかし、ニュースを見ると線状降水帯が発生し、わずか半日で平年の9月1か月分を超える記録的な大雨とのことでした。

24日の日中、くわひとつのメンバーでもある鈴木さんからメッセージをもらい、定期的に開催している大地の再生講座でのフィールドが土砂崩れを起こした。とのこと。
その報告を受けて夕方伺ってきました。

道中、付近の川も氾濫した様子が見受けられました。
橋の手すり部分に流木が引っかかり、水が行き場を失い、溢れ、水圧に押され、コンクリート舗装が剥がれたようです。
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こういったケースは結構、多かったのではないかと思います。
これがまた2次被害を引き起こすのだと思います。
本来水が抜ける川がここで詰まることによって、山の谷筋にもずっと水が抜けずに溜まり出してきます。山の斜面の土はたっぷりと水を含み飽和状態になってきます。そして、何かの拍子で飽和状態になった土が丸ごと滑るように落ちてくるのではないかと思われます。

そんなことを思いながら、mori to miの山につきました。
鈴木ご夫妻に案内してもらい、まずは、ため池の様子を拝見。
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普段、この位は溜まることは、あるそうだが、いつもと水の濁りが違うと言います。
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オーバーフローのために掘っていた脈にも水がたくさんきた模様です。
深くえぐっていた様子が伺えます。

ため池の奥の谷筋に進んでいきます。
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泥あくが流れ込んだのがわかります。

さらに奥へと進むと

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土砂崩れの現場です。

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見ると、腐植層の下の基の岩盤層が現れています。ここで滑った模様。
シイの木の根の張りが弱く、深くまで根が伸びれてなかったのでしょう。
ただ、これも、その下の谷筋が詰まっていたからだと思います。
谷筋で本来は水と空気が抜けて循環していくはず、しかし、詰まっていたから一番水と空気が抜けやすいシイの木の根っこ部分から水と空気が抜けたのでしょう。あれだけの水量ですから、谷筋から水が溜まり斜面まで腐植層いっぱいに水が溜まり飽和状態になり根っこ部分から水が勢いよく抜けそれと同時にその下の斜面の土を崩していったことが予測されます。
行きの道中に見た川の氾濫で感じていたことです。

残されたシイの木の枝葉を見てみると、枝先は垂れ下がり不安定な様子。
いずれこの枝も折れるかなという印象。
そう、それだけ、土中の環境もよくなかったのです。
昔は、枝葉を広げていた分、根っこも同じように伸びていたと思います。
でも、土の中は通気不全になり、根は衰退し、それによって枝葉も小さくなろうとしていたのだと思います。
この無言の訴えに気づいてあげれなかったのが悔やまれます。

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もう一度ため池部分に戻ります。
オーバーフロー、空気の通り道のために2経路脈を掘っていました。
でも、それ以外のところからも泥が溜まり水が溢れた様子が見受けられました。
これも原因の一つかな?と思います。
ため池で留めすぎてしまったのか?!それが波動のように谷筋の奥地へ伝わり、土砂を崩したのかと。
もう少し、抜きの機能があれば、崩壊は防げたのか?とも思われます。
次回、ここにもう一本脈を通すことにします。
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気象庁の潮見表を見てみると、
26日が新月なのでちょうど24日から大潮に入る日、24日の満潮は朝方4時11分。
雨が集中していた時間帯が大潮の満潮に向かう時間帯。つまり、海から陸へ潮が満ちてきて、出口を塞ぎやすい時間帯。
いろんなことが複雑に絡み合って起こった天災だと思われます。

他の谷筋も見ていきます。
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今まで、多少なりとも凸凹があった地形は泥で埋め尽くされ平坦となってしまいました。
鈴木夫妻は、「なんか違う山に入っているみたい」と言われていました。
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今回、数カ所、そこまでは大きくない土砂崩れが見られました。

これを、記録的な豪雨だから仕方ない。
と一言で済ませていいのだろうか?!
健康的な山の状態だったとしても結果は一緒なのか?
決してそうではないと思います。
木々の張り、ツヤ、根の状態、土の状態、風通し、空気感など感じるものはやっぱりちょっとおかしい。
一見心地よい山だと感じれれるが、本当はもっともっと心地よい山だったはず。もっと健康的な山だったはず。
では、なんでこうなってしまったのか?
山が呼吸できなくなってしまった。呼吸不全になっている。
そこが一番の原因だと思います。
では、それは何が根本的原因なのか?
人によっての開発が主だっているのではないか。
コンクリートやアスファルトで空気と水が循環する脈を遮断し、山は酸欠状態になってしまっている。
大地の血管である空気と水を通す水脈をコンクリートやアスファルトで抑えてしまっているのです。
自分の体に当てはめて考えてみるとイメージしやすいです。
自分の体中に重たいコンクリートが常に乗っかっていたらどうでしょう?血管を圧迫していたらどうでしょう?
苦しいですよね?病気になりますよね?
もがきたくなりますよね?
大地も一緒です。
呼吸できなくて苦しいからもがいているのです。もがいて、土砂を崩して、もう一度呼吸できるように安定しようとしているのです。
人から見れば、土砂崩れという災害ですが、
自然から見れば山が大きく深呼吸しているようなもの。マイナスではなくプラスの現象になると思います。

そして、今回、感じたのは、
大地は、やっぱり脈で繋がっているといこと。
間違いないですね。
脈のつまり、遮断が問題を引き起こしていますね。

と言っても、コンクリートなどを決して否定している訳ではなく、ただ、大地も呼吸できるようなケアをして共存できるようにしていくべきだと思うのです。

10月9日ここの山で大地の再生講座を開催します。
こんなお話をしながら、改善作業をできればと思っています。

流れてきた、幹や枝、石は絶妙にしがらみ、空気と水を通しながら安定しています。
土砂崩れで邪魔だからと言って安易に全てを片付けてしまうより、自然の水が置いていった木や石を頼りに脈沿いを開くように土をちょっとあげてあげ、更に崩れそうなところを、その自然の組み方に習って、土留をする。
あとは、ため池の出口をもう少し増やしてあげようと思います。

講座の方も気軽に参加くださいませ。
結の作業も感動しますよ!
お待ちしてます!

 

映画『杜人』 〜環境再生医 矢野智徳の挑戦〜 浜松でもやっと上映

待ちに待った矢野さんの映画『杜人』が浜松シネマイーラでも上映になりました。

思い返せば矢野さんと出会ったのが2014年。
千葉の高田造園設計事務所さんのフィールドでの大地の再生講座が初めてでした。
高田さんから、面白い視点の人がいるから参加した方がいいよ。と誘われ、当時、僕は高田さんのストーカーのように高田さんが何か講座やワークショップを開催するときは二つ返事ですぐさま答えていました。
矢野さんの土の中にも地上と同じように空気と水が対流する気象の環境がある。空気が滞ることによって木は傷み、大地も傷み、災害にもつながっているという初めて聞くフレーズに衝撃を受けました。
それと、同時に僕は、これはとても大切なことかもしれない。もっと知りたい。そして、この視点をもっと周りの人に広めていかなければならないんじゃないか?!という気持ちになりました。
それからは、矢野さんの大地の再生講座に行けるところは行き、自らも天竜のきこりの前田さんのところで大地の再生講座を主催させていただきました。
矢野さんと全国の仲間と一緒に一般社団法人のメンバーにも入れていただき、自分でも大地の再生の視点を広めていこうと活動していたのですが、中々、伝わらないのが現状でした。
大地の再生作業をさせていただいても続かなかったり、まー自分でもやりきれていないところもあったのですが、ちょっと考えれば当たり前のことで理解できるはずなんだけどなーともどかしい状態でした。
その中でもやっと少しずつ地元では理解してくれる仲間もでき、2021年には『くわひとつ』任意団体を立ち上げ、今では定期的に大地の再生講座を開催させていただいているところです。
そして、待ちに待った矢野さんのドキュメンタリー映画『杜人』が仕上がりこれで遠州地域も大地の再生視点が広められる。
そんな期待をしていたのですが、映画監督の前田せつこさんから浜松シネマイーラで上映断られちゃった・・・。と相談をもらい。
「えっ!そうなんですか?!支配人に繋がりがありそうな人をあたってみます。」と言ったのがことの始まりで、すぐに色んなたくさんの人に繋がり「いーら杜人」実行委員会までできちゃって、上映もできることが決まりました。
委員会のメンバーの方は大地の再生のことは初めて知る方もいたのですが、映画の予告編やダイジェスト版をみていただいてすぐに賛同してくれ、機動力もすごく、浜松シネマイーラさんと満席にしようと盛り上がったのを思い出します。
キックオフイベントを開催し、新聞にも取り上げてもらい、ラジオにも出演させてもいただくなど、メディアへの告知も段取りしてもらい、ホント皆さんに助けてもらいました。
7月15日が上映1日目、17、18日が前田監督の舞台挨拶。
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この二日間、なんと、満席になりました!
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僕もありがたく舞台に上げさせていただきました。2日間も。感謝。
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さて、浜松シネマイーラさんでの上映は1週間で21日には終わりになりますが、ここから、映画が生み出してきた渦の勢いを繋いでいけたらと思います。
矢野さんと前田監督を招いても自主上映会も企画していきたいと思っておりますが、まずは、いつものフィールド牧之原市のmori to umiさんの里山で大地の再生講座を定期的に開催させていただき、
ここで、基本的な視点から、

大地も山自身も生きている。呼吸しているということから伝え、大地には、人と同じように水と空気を通す水脈という大地の血管が張り巡らされいるということを理解してもらうことからできればと思います。
そして、今は、大地が呼吸不全を起こしている。
大地の血管がコンクリートやアスファルトなどの人の開発によって遮断されたり圧迫されたりして、循環できない状態、酸欠状態になってしまっている。
木々もそれによって呼吸できなく苦しんでいる。
土砂崩れもあれは、大地が呼吸できなくて苦しんでいるからもう一度土を崩して呼吸できるように安定しようとしていること。人から見れば災害でマイナスなことかもしれない。でも、自然から見れば当たり前のこと。生きているものが呼吸しようとするのは普通のこと。あれは、大地の深呼吸であること。
自分の体に当てはめて考えてみれば、よくわかりますよね。
体中の血管にコンクリートなど常に重たいものが載っかっている状態であれば、苦しくてしょうがない。もがきたい。普通の現象。

だから、僕は、講座の改善作業を参加者の皆さんと一緒になり、大地の呼吸を取り戻せば、木々も元気になり、自然環境が良くなる。災害も防げるということを伝えていければと思います。

今の社会は数字や計算や理論で証明しないと中々動かせることができない時代。
でも、もっと大切なのは、人の感覚、五感。
五感を頼りに、無言の自然の世界と対話し、感覚的に作業する。
それを感覚的に測定して、自然環境が良くなったよね。と証明してみせたい。
数字だけで進めてしまうと、無駄な作業も増えてしまう。大切なのはそこの自然環境をしっかり読み解いてそこの環境に合わせて作業をすることだと思う。
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そして、結の大切さを。
今回も素敵な仲間と一緒に映画を盛り上げることができました。

自然環境は、大地と生物と気象の環境がそれぞれ複雑にしがらんで成り立っている。どれひとつ欠かすことができない。
今回は自然のスクラムのように実行員のメンバーとできた。
1人ではできなかった。それぞれができること。得意なことをやり、みんなでスクラムを組みながら、映画館を満席に埋めました。
素敵なメンバーとの出会いに感謝!
ここからですね。この波動、風を繋いでいけたらと思います。

2022-07-19 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

コナラとモミジの掘り取りから想うこと・・・見えない土の中をデザインすることが大切。

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コナラとモミジが隣り合う樹木の撤去をしていると図鑑で見たような根の張り方に出会いました。

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黄色いマーカーがコナラの根、赤いマーカーがモミジの根になります。
お互いの根が絡み合い、モミジの根の下にコナラの根が張ることからコナラは根を深く張り、モミジは浅いところで根を張るのが写真から読み取れると思います。

根を張ることによって、土の中では空気と水が通るようになります。土は通気が良くなれば目に見えないような微生物や菌糸の住処も増え、土は団粒化が進み更に樹木の根も伸びやすくなります。一気にプラスの連鎖へと動いていきます。
コナラはモミジより成長は早く、素早く根を深く伸ばし土壌を改良してくれ、縦方向に動脈的な水脈を担ってくれています。
モミジは地上付近で根を細かく草の根のように張ります。表層で通気浸透の役割を担ってくれているのがわかると思います。
表層の通気も大切になります。地上付近に根がないと、表層が膜を張るように土が締まりだし、いくら深いところの通気が良くても雨は浸み込んでいかずいずれ、土は締まって硬くなってしまいます。地上から深いところまで根が張るコナラの根もモミジの根も共に大切になります。片方だけでは不十分であり、お互いが相互作用をもたらしながら生息しているのが自然環境だと思います。

これが、1本で植えたり、単一植物だけでは根の張りが不十分で土壌環境は中々改善されてきません。
だから、ナインスケッチでは、植栽するときには、寄せ植えして、色々な樹種を混植することにしています。


見えない土の中もデザインする必要があるのです。

根を張り巡らさせ、通気浸透を良くさせることで、木々は健やかに育つことができます。植栽するには、他の樹木の力も借りないといけないということです。単純に土壌改良をするだけでは不十分なのです。根の張りが一様に広がらず、いずれは、土壌改良したふかふかの土も周りの人工構造物などの圧によって土は締まり、乾燥したり、水はけが悪くなるなど負の連鎖に陥ってきます。
土の環境が良くなれば、木々は健康的に育ってきます。逆からも言えます。木々があるから根を張り土中の通気が良くなってきます。土の環境と動植物の環境と空気や水の気象の環境、全てが絡み合って成り立っているのが自然環境です。この辺りの自然環境をデザインして庭や外構などを作ることで、本当に心地よい住まいが実現できると思います。

まずは、自然環境を整えることが大切でそれから人がやりたいことをあたがっていった方が結局は心地よい住まいが作れると思います。人都合や見た目が先行してしまうと、後々管理も大変になってしまいますしね。
見えない空気をどうデザインするかが大切で、これができれば自然も人も共存できる空間になってくると思います。

2022-01-28 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

大地の再生講座 in 牧之原市 第5回 10月3日開催

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定期的に続けている牧之原市での大地の再生講座を10月3日に開催いたします。
参加者と一緒に改善し、観察し、メンテし、3歩進んで2歩下がる感じですが、よくなっているのが体感できるようになってきました。
今の空間づくりは、設計書通りに施工すことが当たり前ですが、それでは、どの環境においても同じものができてしまいます。
かつては、その場所に聞いて、
見て、触って、感じて、そこの環境に合わせた手入れをしていたはずです。
それが、「土木」です。
そこの環境を傷めず、尚且つ、人が暮らしやすいようにもする。
自然の土と木と石を使いながら空気と水をしっかりと循環させながら、自然の機能を損なわないように造成していました。
自然と対話しながら進める五感作業。
一緒にしませんか?
ぜひ、参加ください〜!

【⽇時】
2021年10⽉3⽇(⽇)
8:30〜受付開始
9:00〜講座開始
17:00 頃には終了
【会場&集合場所】
静岡県牧之原市⻄萩間(mori to umi)
※詳しい場所はお申し込み後にお伝えいたします。
【スケジュール】
※基本的には⾬天決⾏の予定です。
※受付時の体温チェックにご協力ください。
8:30〜現地受付開始
9:00〜⾃⼰紹介
9:30〜講座開始、⼿作業での改善⼯事。途中休憩、昼⾷休憩あり。
16:00〜まとめ、感想、⽚付け
17:00 頃終了、解散
なお、予定は変更される可能性はございます。ご了承ください。
【参加費、その他費⽤】
講座費:3,000 円
※昼食・保険代込。
【持ち物・服装】
動きやすく、汚れてもよい服装
移植ゴテ、スコップ、ツルハシ、ミツグワ、ノコ鎌など準備可能な道具をご持参ください。
作業⼿袋
⻑靴(沼あります)
⾬合⽻
タオル
帽⼦
⽔筒など飲み物
筆記⽤具
【ご注意事項とお願い】
・お子様を同伴される場合、お子様の安全管理は各自で責任を持ってお願いします。
・汚れてもいい、動きやすい服装でお越しください。着替えがあると安心です。
・荒天の場合は中止させていただきます。天候による開催可否の決定に関しては、前日までにご連絡させていただきます。
・参加申込後、お客様のご都合によるキャンセルは必ずご連絡をいただけますようお願い申し上げます。
【新型コロナウィルス感染防止についてのお願い】
・当日は体温を計測いただき、受付にて体温を申告いただくようお願いします。
・当日の体調が悪いようであればキャンセルを受付します。キャンセル料はいただきませんので、決して無理に参加されることはお避け下さい。
・受付にて、手指消毒液を設置しております。
・自然の中ですが基本的には、マスク着用などの配慮をお願いします。
・当講座は新型コロナウィルスの影響により、開催中止となる場合がございます。その際にはご連絡します。
【お申し込み方法】
事前に下記の内容を明記してメールもしくはお電話をお願い致します。
Facebookで繋がりのある方はメッセンジャーでも受付します。
なお、講座参加⼈数を定員20名程度としております。
ご興味ある⽅はお早めにお申し込みください。
また、お⼦様も参加可能です。(お子様の参加費は無料)
①お名前(代表者と参加者全て)
②電話番号
③メールアドレス
④お住まい(都道府県と市町村のみでも結構です。)
【申込み先】
mori to umi
メール:moritoumi500@gmail.com
電話:080-2637-9124(鈴⽊)
【主催】mori to umi
【協力】株式会社ナインスケッチ
    くわひとつ

 

大地の再生講座 in 牧之原市 第2回 4月18日開催

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前回に引き続き mori to umi のフィールドで作業を中心とした大地の再生講座を開催いたします。
庭の水捌けの問題や、呼吸できなくなって苦しんでいる樹木の処置を、大地の再生の視点で改善作業を行います。
土の中で停滞している水を抜くには、土圧のかかった空気圧を抜き、中に溜まっている水が大気圧に押し出されるように抜けてきます。地形の落差から抜ける空気と水の関係は、サイフォンの原理のそのものです。
 また、土圧によって締め付けられいることで根の呼吸がしづらく苦しんでいる植物も、土の中の停滞している空気を抜いてあげれば中に溜まっている水も大気圧に押し出されるように抜けてきます。空気と水の流れを改善すれば植物の根の呼吸も再開し元気になってくるのです。
身近なところの空気と水を抜いてあげれば、動植物と人の暮らす場所が息づきを取り戻し心地良い環境へと転じていきます。一緒に空気と水の循環視点を学びましょう。
【講師】株式会社ナインスケッチ田中さん
https://www.9sketch.com/
⚠矢野さんの講座ではありません
__________________
昨年の各地の台⾵被害、確かに観測史上で、最も多くの⾬が降ったこともあるかもしれませんが、本来の⼭の⾃然的な機能があればあそこまでの被害が出なかったのではないかと感じてしまいます。
周りを⾒渡せば、道路や宅地、⼤規模な⼯場やメガソーラーなど、⽊々を伐採し、⼭を削りコンクリートやアスファルトで⼤地を覆ってしまっています。 この⾏きすぎた現代⼟⽊によって⼤地は呼吸ができなくなってしましました。呼吸を失った⼤地は、⽔をしっかりと蓄えることもできずに、⾬は⼀気に地表を流れ、崖を崩し、⼟⽯流となり川を増⽔させるなどの被害が起こっています。
しかしながら、私たちの⽣活にはコンクリートやアスファルトなどは⽋かせなくなってもいます。「⼤地の再⽣」の視点があれば、現代⼟⽊も否定せずに⼤地の⾎管である⽔と空気が循環する⽔脈が滞ることなく共存も可能だと思います。
近隣の⼭や雑⽊林が荒れてしまったけど、⼿⼊れや管理の仕⽅が分からない。また、⼟砂崩れや倒⽊がおきないか⼼配な⽅もいると思います。
⼭が荒れ薮状態になったり、⼟砂崩れや倒⽊などの災害の根本的な原因は何なのか、実際の⼭を⾒ながら、⾃然からのメッセージを感じながら、⼀緒に学びませんか?
__________________
【⽇時】
2021 年4⽉18⽇(⽇)
8:30〜受付開始
9:00〜講座開始
17:00 頃には終了
【会場&集合場所】
静岡県牧之原市⻄萩間(mori to umi)
※詳しい場所はお申し込み後にお伝えいたします。
【スケジュール】
※基本的には⾬天決⾏の予定です。
※受付時の体温チェックにご協力ください。
8:30〜現地受付開始
9:00〜⾃⼰紹介
9:30〜講座開始、途中昼⾷休憩あり。⼿作業での改善⼯事の予定もあり。
16:00〜まとめ、感想、⽚付け
17:00 頃終了、解散
なお、予定は変更される可能性はございます。ご了承ください。
【参加費、その他費⽤】
講座費:3,000 円
※お弁当代500円と保険代などが含まれます。
※お弁当は持参していただいてもOKです。その際には500円値引きします。
※お弁当の注文は4⽉14⽇までに必要個数をご連絡ください。
【持ち物・服装】
動きやすく、汚れてもよい服装
移植ゴテ、スコップ、ツルハシ、ミツグワ、ノコ鎌など
作業⼿袋
⻑靴(沼あります)
⾬合⽻
タオル
帽⼦
お弁当(注⽂される⽅は不要)
⽔筒など飲み物
筆記⽤具
【ご注意事項とお願い】
・お子様を同伴される場合、お子様の安全管理は各自で責任を持ってお願いいたします。
・汚れてもいい、動きやすい服装でお越しください。着替えがあると安心です。
・荒天の場合は中止させていただきます。天候による開催可否の決定に関しては、前日までにご連絡させていただきます。
・参加申込後、お客様のご都合によるキャンセルは4月14日までに必ずご連絡をいただけますようお願い申し上げます。
【新型コロナウィルス感染防止についてのお願い】
・当日は体温を計測いただき、受付にて体温を申告いただくようお願いします。
・当日の体調が悪いようであればキャンセルを受付します。キャンセル料はいただきませんので、決して無理に参加されることはお避け下さい。
・受付にて、手指消毒液を設置しております。
・自然の中ですが基本的には、マスク着用などの配慮をお願いします。
・当講座は新型コロナウィルスの影響により、開催中止となる場合がございます。その際にはご連絡します。
【お申し込み方法】
事前に下記の内容を明記してメールもしくはお電話をお願い致します。
なお、講座参加⼈数を定員20名程度としております。
ご興味ある⽅はお早めにお申し込みください。
また、お⼦様も参加可能です。(お子様の参加費は無料)
①お名前(代表者と参加者全て)
②電話番号
③メールアドレス
④お住まい(都道府県と市町村のみでも結構です。)
⑤お弁当の有無(4⽉14⽇までに必要な個数をご連絡ください。)
【申込み先】
mori to umi
メール:moritoumi500@gmail.com
電話:080-2637-9124(鈴⽊)
【主催】mori to umi
【協力】株式会社ナインスケッチ

 

大地の再生講座 in 牧之原市を終えて

これからは、各地域で、その地域の特色を活かした地域に根ざした活動にシフトしていくことを目的の一つとして一社)大地の再生講座結の杜づくり昨年6月に解散しました。
その後、大地の再生講座に参加したことがある菊川市議員の倉部さんの働きによって、僕自身は、菊川市議員会が運営する総務建設委員会で大地の再生の話をさせてもらう機会を頂きました。
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土砂崩れを起こした菊川市の和田公園の現状を題材に話をしたり、矢野さんが視察に行った九州熊本での被害の報告もさせて頂きました。
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菊川市和田公園の土砂崩れ、九州熊本の災害どちらにおいても、人工構造物が水脈機能を低下させ、それが災害の引き金になっているのは間違いないと言っていいと思います。自然本来の水脈機能を理解しないまま土木工事が進められてしまっています。それを早く、土木視点に注意事項として天災、防災の情報の中に入れないと被害が拡大してしまうと思います。しっかりと研究情報の中に入れれば災害は防げるのではないでしょうか。数値化されていないから排除していくのではなく、生の現場が教えてくれることを感じとり、対策していかないともう先が見えなくなってしまいます。流域災害がもうこれから先は必然的に起こってしまうのではないかと予測されます。
これからは、昔の人がくわ一つで、里山を水切りして自然の機能に沿って水脈を整えていたように、それをもう一度地域ごとでやっていく必要があると思います。
そう、思っていた頃、僕の住む菊川市の隣接市の牧之原市でmori to umiさんの森で矢野さんを招いての大地の再生見立て講座が開催されました。
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年末の忙しい時期に我々含めて40名近くの人が集まりました。今の環境悪化に関心をもち、それにどうしていけばいいのか悩み不安を抱えている人の多さの現れではないかと思います。
それぞれの自己紹介から始まり、いよいよ、講座の始まりです。
矢野さんから地図データの解説から始まります。
敷地周辺図
mori to umiさんの森は、赤丸のところで、谷筋に沿って水脈と同じように人の動線、道路や宅地が開発されてしまっているその丘の上にあるのが分かります。
地図上の+のところが大谷でここが沼地化されています。谷から水と空気が淀み抜けていないようだと以前写真をみて伺えます。
この谷筋である水脈を中心に見てその谷から奥につながる斜面、更に奥の尾根へと見ていきます。。この谷筋が詰まった時、谷と斜面と尾根がどうのような連鎖反応をしているのか、今日、これから中に入り見て感じてもらいます。と矢野さんから話がありました。
敷地広域周辺図
もう少し、広い地図を見ると、牧之原台地が起伏地形をもって人の生活と自然が入り組んで活用されている地域と言うのがわかると思います。谷筋を縫うように見ていくと見事な曲線が描かれ谷がえぐられている地形の中に緩やかに牧之原台地の特有の光と風を浴びてお茶畑が広がっているのが読み取れてきます。
地形水系図 修正版
この図は、表層地形に張り巡らされいる水脈デザインで、要は目に見える川になります。これが大地の中にも体と同じように入り組んだ水脈ラインができています。下草から高木まで植物の根と連動して大地の中の土壌や地質の層にこの空気と水の血管網ができ、高低差によって循環しています。人の血管が脈で循環しているように大地の中を空気と水は上流から下流に緩やかに耐えることなく動き続けていて、それが地上と地下の対流を層をなして生み出しています。
地方図
天竜川や大井川などの河川を中心にこの脈が高山帯の南アルプスを含めて上流域まで繋がっているのがわかると思います。脈のどこかで不具合を起こせば、流域全体が不具合を引き起こすことになってしまっています。
海岸線での松枯れや山林のナラ枯れ、また、上流高山帯での斜面の崩壊や尾根の乾燥、森の下草から高木層の植物の傷みが水脈の循環機能の低下と繋がっているのです。
また、このミクロ版がこの里山であります。ミクロもマクロも相似形として水脈機能、生態系機能は連動しているのです。

この地図情報を頭に入れて実際に生のフィールドを見ていきます。
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里山に入る前に、宅地内の庭に目を向けます。
写真向かって右側の柏の木が元気がないと矢野さんは話します。柏は冬でも葉が枯れても葉っぱは中々落とさずにずっとついています。そうは言っても枯れるのは他と比べて早すぎる、また、葉っぱの付き方が枝に密集ガチに思え、土中が詰まっているように思えます。
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庭から里山へ向かう園路の土の表情を見て、泥あくが発生し水の浸透が乏しいことを指摘したり、庭とみかん畑の境界の側溝を見ては、側面のRCだけで底にはコンクリートがなくまだまだ改善の余地は十分にあることを確認し、里山へ行くまでも庭やみかん畑のどこがどんな表情で悪く、それが何が原因なのかを解説しながら進んでいきます。
園路に植えてある桜を見ては、元の太い幹が傷み弱ってきて、その代わりに根元からひこばえを出しいます。これは、深いところの根が苦しく息ができなく弱ってきている。表層の空気が循環しやすいところのでの根が張って、深いところの根が衰退するのをカバーするようになんとか一生懸命拡げて、この木全体で生きようとしているのです。これは、そこの側溝の泥詰まりや園路の水が表層で走りすぎることを抑えれば回復してきます。
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写真は谷間の沼地化されたところです。この頃はしばらく雨も降っていなく土は乾燥しています。
しかし、木々は荒れ風通しも悪く、心地よさはあまり感じられません。
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雨が続くと水は浸透せず淀みが生まれ空気感も滞る感じがします。
これを、一気に戻そうとすると大変ですが、できるところから点で穴を掘るなどコツコツと大事に作業をしていけばプラスになって行く速度でつむいでやっていくと数十年位のマイナスが1年2年でプラスに転じてきます。その時に人が全てをやろうとするのではなく、大地と生物と気象の循環機能に沿って手を入れれば、人の作業を応援するように大地と生物と気象もスクラムを組んで応援してくれるように桁違いに変化してきます。
昔の人はこの作業を感覚的に捉えて日常的に手作業で循環型に収めていました。まだまだ、機械も便利な道具もない時代に、循環型や生活を自給的に営めていました。昔の古地図を見ても田んぼや畑の広さは変わっていません。それを機械や道具のない時代に営めたのは、自然の水脈機能に沿った手の入れ方をし自然を見方につけていたからできたことです。
今では、水脈機能を無視した、人の都合で機械が作業しやすいような道を通したり、材料を変えてしまいました。その結果、自然は応援しなくなり逆に反発するようになってしまいました。それをまた力で抑えつけてしっているのが現状です。昔の人がやっていたような視点を大切に雨や風がやってくれているような機械作業をすればコンクリートも否定せずに共存もできるはずです。
今の道具や材料、また、ここにある資材なども大事に使ってそれぞれが相乗的な力が働くような水脈機能に沿った空気と水の循環を生み出すような作業をしていけば全体が急速に蘇る力をもっています。
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谷筋の奥に進みます。
谷が合流してため池ができている急な斜面に、自然林のシイノキと植林した杉とそこに竹が進入してきています。今は、それぞれが競い合い喧嘩をするような関係になっています。この3つの植生が競い合わない関係は、この谷筋を中心に空気と水が循環する水脈を修繕していけば全てが大人しくなり、それぞれが息ができお互いが認め合うような群落を作り出してきます。
また、空気と水の循環がよくなればその循環に見合う植物が残り、暴れるようにここに繁茂してきた植物たちはいなくなってきます。逆を言えば、今はこの水と空気循環にあった竹がここを支えてくれているのです。大地は、空気と水の循環を保つために次々に新たな植物を生み出しているのです。でも、水脈機能が回復すると後からやってきた植物は役割を終えていなくなってくるのです。
今の現状は、脈が詰まり、大きな点穴であるため池も詰まっています。ため池のヘドロが回復されるように脈を開いてあげ、ため池に繋がる谷筋を点と線でつないでいけば見る見るうちに変わってきます。それを今度は、応援するように動植物が息づきをつないでいってくれ、そして、大地の土壌の粒状も変わり進み粘土化が後退し、乾燥化止まり、空気が通りやすい団粒化の土壌になれば一気にプラスの連鎖が生まれてきます。
この脈の機能を回復してあげるだけで、上の目に見える尾根線までもが変わってきます。そこを直接手をいれる作業をしなくても変わってきます。でも、その水脈機能に沿ってしなければ意味がなくなってしまいます。
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尾根に着くと、立派なシイノキの照葉樹林帯が広がります。林冠はシイノキらしい枝葉が毛細血管のように光が入り込むように棲み分けされ、感動させられます。
しかし、よく観察すると幹は痩せ細り、下枝はなく、食害され枯れている部分も多く見られます。
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地面へと目を向けると、土は乾いて乾燥し、硬くしまっています。歩いてて足の裏の感触でもわかる位です。本来は、このような照葉樹林帯は落ち葉が積もりフカフカな状態になっているはずですが、それが土が直接見えてしまっています。こうして腐葉土層が発達しなくなり、表層乾燥をおこし、尚且つ地面が締まり硬くなり、空気が通りにくくなる状態が斜面から尾根にかけて広がっています。逆に谷は粘土でベトベトしています。この通気不全が植物の枝葉の傷み、山の傷みとして現れています。植生は傷み、山は地形崩壊となり流域災害に広がってしまっています。要は、辿っていくと人が造った人工構造物が脈を傷めているのが見えてきます。そこの部分の詰まりを解消するように手を入れてあげるだけで生態系は見る見るうちに回復してきます。谷の詰まりを解消していけば地面は柔らかくなり、落ち葉は積もり、下草も生え、傷んでいった木々も幹から胴吹きして新たな枝が回復してきます。発芽しきれなかった地面に落ちた種も発芽してこの森の息づきがつないでくれてくれます。
谷の作業をするだけで尾根まで繋がり生態系の連鎖が働くようになってきます。こんなに傷んだからもう手に追えないのではと諦めなくても大丈夫です。
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谷を中心に水脈機能を改善するように大掛かりな労力をかけなくても定期的にコツコツと手を掛けれれば十分にここの里山は回復でき、人と自然が共存する生物多様性の里山が復活できはずです。と矢野さんは締めてくれました。
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昼食を挟み、急遽重機も搬入しみんなで荒作業しました。
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矢野さんによるイノシシのように掘った点穴や横溝に枝葉を戻していきます。

最後に矢野さんからのエール
できるところからできるエネルギーでコツコツとやってみれば、自然が応援してくれこの息づきが広がってくるはず。
ある意味、闇雲にやってみること。すると、何が硬くなって、何が軟らかくなってくるのか、そこにはどういう差があるのか。どの程度やればいいのか感覚が育ってくる。
頭で考えるよりまずは体を動かし、大地と対話しながら作業することが大切。
作業の結果、風景が痛々しくなったか、息づき軟らかくなったか、この差を大事に見ていく。
泥ぼこりが出てるか、消えるか。水たまりが残るか消えるか。
縦と横の見えない脈をつないでいくと何かが変わってくるのがわかる。それを継続すると、だんだん育ってくる。
身近な人から集い大地が呼吸できるように空気を通す作業をつないでいってもらえたらいいと思います。今日の作業を足掛かりに育んでいってもらえるといいです。

今回の矢野さんを招いて開催した大地の再生講座をきっかけに、鈴木さんとは、このフィールドで、空気を通す作業を繋ぎ里山を改善できたらいいですね。と話をしています。
矢野さんが言うように、今の人工構造物がきっかけで、空気不全が起こり、様々な自然災害が発生しているのは間違いないと思っています。
これからの時代に大切になってくるのはやはり空気視点だと思います。
また、空気を通すための感覚も必要になってくると思います。数字や理論では中々証明し辛い空気を感覚的にデザインすることは、反復作業が大切だと思います。
みんなで一緒に作業し、学びを深めながら里山を再生し、その良さを体感できれば、大地の呼吸の大切さが証明できるのではないかと思います。
また、近いうちにワークショップが開催できたらと思います。

 

小屋の草屋根の施工方法のご紹介

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この梅雨の長雨のおかげもあって先日、木製小屋の屋根に施工した芝張りが元気よく緑になっていたので、施工方法をご紹介します。

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破風や鼻隠しはトタン波板より芝生つ土の分だけ数cmあげました。
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以前、高田造園さんに教えてもらい、トタンを止める釘はシュロ縄を巻いて止水していきます。この工法は江戸時代の木製水路の釘止め部分の水漏れ防止に用いられてきた方法で、高い防水効果が持続していくそうです。また、シュロ縄に菌糸が繁殖し土壌環境もよくなってきます。
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鼻隠しとトタン部分は隙間をあけ空気が抜けるところをつくります。鼻隠しとトタンをくっつけては空気が抜けません。空気が抜けなければ水も滞り芝生は根腐れ起きやすくなり、そもそも空気が循環しないと土も植物も生きていけません。
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その部分に炭や荒枝を絡ませ、空気が程よく抜けやすく
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枝葉も絡めて土が流出しないように空気と水だけが抜けるようにしていきます。
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トタンの上には炭をまきます。
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その上に細かい枝葉を敷きならし
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更に、藁を程よく敷きならしていきます。これで全体に菌糸のネットワークが張り巡らせることができてきます。
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屋根に載せる土は、自分たちでつくります。くん炭多めに炭とパーライトで改良していきます。どの材料も多孔質で空気が通りやすい材質です。水はけもよく保水性もある土になります。屋上緑化用で販売している土は高価ですし・・・。
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芝生を貼って、軽く荒いチップやくん炭をまいて、完成です。
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ポイントは、限られたスペースでも空気循環をつくったことです。空気と水が行き交うところに土も動植物も息づく環境が生まれてきます。 また、植物は、自身の根だけでなく根と共生する菌が根が届かない範囲の栄養を届けてくれます。菌は、植物にとって大切なパートナーです。これらの菌も適度な空気循環が必要です。
見えない空気をデザインすることが大切なのです。逆に空気循環さえ作れればコンクリートの上でも植栽は可能になってきます。
緑化された屋根は、夏の暑さ和らげ周囲に心地よい空気感を与えてくれることでしょう。
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最後におまけの写真。
雨に濡れた大谷石と石畳みのアプローチはいい感じです^^

2020-07-10 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

大地の再生講座 〜菊川市 和田公園 矢野智徳さんによる見立て〜

森町をあとにして、菊川市和田公園に場所を移して矢野智徳さんによる見立てが実施されました。
今回、なぜ菊川市で矢野さんをお招きできたかというと、以前、僕が、建築士会の主催で菊川市の赤レンガ倉庫で大地の再生の話をさせて頂いた時に、菊川市議員の倉部さんも聞いて頂いたのがきっかけで、市議会の代表質問で
「研究機関との連携、大地の再生の考え方の取り入れ等、根本的な菊川市の地形から水害対策を考えることの必要性は。」
としてくれました。
倉部さん代表質問2

倉部さん代表質問1

このことを矢野さんに報告させてもらい、森町に行くなら、せっかくなら菊川市議員の倉部さんとの意見交換もしましょう。とのなり、せっかくなら、昨年の台風で土砂崩れが起き、公園上部のため池の改修工事の話がある和田公園での見立てをしながらがいいと思い、セッティングさせてもらいました。
当日は、急な連絡にも関わらず地元の有志も集まってくれて貴重な機会となりました。

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和田公園敷地周辺図
矢野さんから地図情報を見て、話をしてくれました。
地図情報を見て、碁盤の目のように基盤造成された田んぼ、団地造成のエリア、いろんな道路網が張り巡らされている。重機などで自然の大地を削ったり盛ったり、コンクリートやアスファルトを張り、自然の水脈は人工的なコンクリートなどを使った水路網に変わってしまったのが想像できます。気づかぬうちに自然地形の中に重機械で大地を切り刻み人工的な地形にしている比率が自然地形の比率よりも高くなってきているのが分かると思います。
高速道路網から一般道、鉄道網など単位面積当たりの人の開発比率が高くなっているのがわかります。これが、悲しくとも日常的に人が生活している環境の身近な実態であります。これだけの大地の開発されている中で、大地の中の血管である空気と水の循環がどうなっているのか想像しただけでもまともでないというのが分かると思います。
きっとおかしくなっているだろうなと想像して駐車場から公園を入ったすぐの場所でもやっぱり、コンクリートに泥アクへばりついている姿を見ても、体の血管が血液をにじませているような姿になってしまっている。それだけ大地が傷んでいるのが分かると思います。
植えられた桜も一本として健康な桜がない。大きくなっていながら葉っぱの数、枝の数、幹肌の状態を見ても健全な状態がみられない。大地の空気と水の循環が閉ざされてしまし、人が身近に扱っている生き物は健全な表情になっていない。
和田公園 川だけ地図拡大
牧之原台地に入り組んだ谷戸地形の大地の中では、和田公園がこういう状態だっていうことは近隣のところでも同じようなことが起こっていると思ってもいいでしょう。
和田公園 川だけ地図望遠
さらに大きな視点で見てみると東から大井川、菊川、太田川、天竜川流域、静岡の代表的な流域河川がありますが、これだけの血管のように水脈が張り巡ららせている中で、大きな河川であるマクロ視点の中でもここの和田公園というミクロと同じようなことが起こっているのが想像できます。雨が降ればすぐ泥水になって海まで泥汚染が広がっている。流域から大量の泥水が出る地域になってしまっている。本来は清流の泥水が出ない流域だったはずです。これが戻らないまま時日が経ち、雨が降るたびに泥水が出て続けて各地域で流域災害が起きてしまっているのが現状であります。
泥水がでて、桜が弱っている実態は結果として、大地を支える力は弱まり空気や水が大地の中に浸透する力が弱まり大雨が降るたびに大地が崩壊するのは必然的に起きてしまっている。
しかし、現代土木はここを見ていない、壊れたらまたコンクリートを張るの繰り返し、ミクロでもマクロもこういう状態になっている。
これが、悲しくとも日常的に人が生活している環境の身近な実態であります。

 実際に昨年の土砂崩壊の現場を見てみます。
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崩壊した現場を修復工事が進んでいます。
地形的にみて、道路に集まってくる水が谷筋に出るところが多分崩壊したのだろうと思えます。と矢野さんは話してくれます。
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写真三枚は3月頃の撮ったものです。

道路に集まってくる水が集約されて外に出ようとするポイント、そこの水の出口を水の勢いを緩めて等速機能にして緩やかに優しく自然の水脈にバトンリレーできるようにつないであげる必要があるが、そのままダイレクトにするとリズムの違う水脈機能が不具合を生じて崩壊を起こすのは必然である。それを調整する役割があったのがため池や合流点の深みの水脈地形であったが、深みの地形を人都合で設計や作業のしやすで施工したものは見た目だけでのもので、自然の機能が失われてしまい、いずれ崩壊してします。それはなぜかというと大地は生きているからです。明らかに不具合があるから自分で調整して壊していく。それは、マイナスではなくプラスの動き、息をしているものが起こす当たり前に起こす現象なのです。

人がやっていることがおかしいよ。と自然は訴えてきている。それをプラスに改善していけばすぐに答えてくれるが、人は自分がやってきたことを変えようとしない。現代の人は、人目線を外せない。自然よりに目を向けることができていない。現代のコンクリート開発は、数字と理論が先行してプランニングしてしまっている。しかし、昔の人は、ここに聞いてきていた。ここ現地の自然の状態と対話しながら暮らしてきたから何100年も歴史や文化が築けてきたと思う。
人が自然よりに目を向けなおして見直すかどうかにかかっている。ここに生活する人から声をあげて一つ一つ学びながら立証していくことが問われている。呼吸がしやすい環境を手作業でやってきたら動植物はプラスの表情を返してくれる。まだ、十分間に合う。
矢野さんからエールをもらいました。

今回の矢野さんからの学びを僕ら地域の人とネットワークを組み、空気循環視点を学びながら伝え広げ、この視点が一般化できるように育んでいく責任があると感じています。災害や環境の問題は、この空気視点は抜きにしては語れないのは間違いないと思います。しかし、ここがまだまだ社会には認め難い分野であることは否めないところです。できることからコツコツと草の根活動ができればと思います。

 

大地の再生講座 〜森町で矢野智徳さんによる見立て〜

先日、広島から周智郡森町に移住してくる方の新しい住まいに矢野さんによる見立てに同行させて頂きました。
移住してくるご家族は、広島で大地の再生講座に参加されていました。
しばらく住んでいなかった住まいは、建物周りの林や庭が荒れてしまっていて今のままでは住みずらい状況を矢野さんによる大地の再生視点での改善を進めていきたいとのことで広島支部の京子さんとの連携で実現しました。
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建物の裏には山を背負っており、素掘りで石積みの井戸も残ってもいて、水が豊富に常に湧き出ているところであります。IMG_5367
水が豊富に湧き出る地形部分である斜面変換線部分にU字溝を設置したりしてしまい、本来水と空気が循環しやすいところを塞いでしまい、空気が抜けず、降った雨も土中に浸み込まずに地表を流れ水だけでなく表土も流し斜面麓に泥アクを溜めてしまっています。長年放置され現状は、設置したU字溝も見えないくらいになってしまいました。住んでいた方も水の処理に悩まれていたと思います。
土中には、脈がありそこには水だけでなく空気も同時に流れています。空気が滞れば水も流れません。水が滞れば空気も滞る。逆に空気が抜ければ水も抜ける。水が抜ければ空気も抜ける。水と空気は常に一体で動いています。
また、自然は、ミクロもマクロも相似形です。自然災害と言われる土砂崩れも同じメカニズムで発生していると言っていいと思います。降水量が増え、下の方で空気が滞れば水の流れも止まり飽和状態がだんだん上へと積み重なり、耐えきれなくなり土砂が崩れる。根本的なところは、現代の土木には空気視点が欠けているところだと思います。土中には水だけでなく空気の対流があるという視点を広めていきたいですね。

しかし、悪い話ばかりでなく、水の透明度を見ても矢野さんからは、悪くはないですね。水が濁っていないということは緩やかに循環しているということですね。これだけの水が出るならいっそのこと、池にしてもいいんじゃないですか。という話も出ました。
泥さらいをし、斜面林の風通し剪定や伐採をし、地表と土中の空気を通せば見る見るうちに良くなってくるでしょう。
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家の前には茶畑や田んぼ、更に奥は、川も流れていて生態系も豊かでとても良いところだと思います。
ここにこれから住まわれるお施主様が羨ましいですね。
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続いて田んぼの循環です。
崩壊していた畔の修繕をする矢野さん。
田んぼの入りと出をうまくつないであげる必要がある。
表層の水が動いてくれれば、深いところまで空気と水が対流しやすくなる。そうすると、稲の土の中の根が呼吸しやすくなるするようになる。土の中の淀みやガスがちゃんと上の方に流れてもくる。
稲の根の周りの土の空気が地上の空気と水の動きに引っ張れて循環するようになり、根の張りが良くなってくる。
土が硬くなる状態は陸の環境である。土が締まって、水が持ち上げられている状態でそれは、水があっても陸辺状態になり雑草が増えてくる。そうすると、除草剤をまかないと追いつかなくなってしまう。土が水に持ち上げられる水辺環境を作れば陸辺の草は生えなくなる。
稲にあった空気循環を入りと出で調整すれば、それだけで稲が育つと話てくれました。

田んぼは空気循環を学ぶにはとても良い教材ですね。
育てたい作物にあった空気循環を作ってあげるだけでいいのかもしれませんね。

これから、機会が合えばお施主様と改善できればと思います。
きっと目に見えて変化する心地よい住まいになることだと思います。

この後、菊川市の和田公園に移動し、たくさんのコアな地元メンバーと矢野さんによる見立てになります。また、次の機会に報告いたします。

2020-07-05 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

リックスクエア2019 〜スノーピークのアーバンアウトドア戦略 〜

昨年12月に開催されたリックスクエア2019の第二部のトークセッションに登壇してきました。
リックスクエアは造園外構に特化したCADメーカーのユニマットリックさんが企画し、造園、外構、エクステリア業界の今と未来を考える交流イベントになりますが、毎年開催されていて、2017年にも一度登壇させて頂きました。その時の内容はこちらから
今回は「庭の体験価値を高めるアウトドアの本当の魅力とは」というテーマでアウトドアブランドのスノーピークさんによる「スノーピークのアーバンアウトドア戦略 ~スノーピークがデザインする“庭”という空間~」の特別講演になります。僕はその第二部の「家と庭の作り手から見た、住まい×アウトドアの可能性」トークセッションのメンバーの1人として参加させて頂きました。
スノーピークさんは、新潟の金物で有名な燕三条で発祥し、金物を作った登山道具など商品を開発することから始まったことを聞いたことがありました。その会社が今では、住宅産業でも名を聞くことにもなり、アパレルなど多角的な産業になっているので、自分自身も興味があり、当日を楽しみにしていました。

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しかし、会場は、東京の秋葉原。立派な会場であることと、今回は、東京をメイン会場として全国でライブ中継会場が仙台、名古屋、大阪、広島、福岡の5箇所も設けられ、視聴者が600名弱という話を聞いてちょっとビビっていました。
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会場は、満席で、スタートしました。
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スノーピークの吉野真紀夫さんから
全世界の人が幸せになれるために我々が何ができるかを考えてサービスを積み重ねていくという理念を掲げていくというお話からスタートしました。
キャンプだけでなく、短なところに自然との繋がりがあるんじゃないかと考え、色々な事業展開をして、飲食店舗、アパレル、アウトドアはオフィスづくり、まちづくりや戸建てからマンション、地方創生まで展開しています。日常と非日常の部分で自然と人を繋げて、人間性の回復を目指して一人でも多くの人に自然の恵や日本の四季や文化を知ってもらい幸せな人生を送れる手助けをしたいというお話をされていました。
そう考えると、住まうところ日常生活に自然を感じるような、ものやことをとい取り入れるという発想が出るのは必須だったのかもしれませんね。キャンプというとハードルが高く「野遊び」をテーマにすることで誰でも親しみやすくなりますね。業界の垣根なしに社会的使命を達成するために何でも必要ならやってみる企業理念、行動力は感動しました。
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ここから第二部です。
主催のリックの小松社長とスノーピークの吉野さんに加えて、株式会社荒正の須田社長と兵庫県のにわいろSTYLEの吉川社長とぼくも加わりトークセッションのスタートです。
その前に各自の自己紹介からはじまりました。
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荒正さんはスノーピークさんの専門ショップも運営されていて、また、スノーピークと東北芸術工科大学と一緒にエコタウンの分譲も行っています。
次に僕の番です。
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まだまだビギナーですが、フライフィッシングやキャンプの趣味があることを紹介させて頂き、また、仕事の施工例なども紹介させて頂きました。DSC08578
にわいろSTYLEの吉川社長は、古民家をリフォームして宿泊施設もつくり運営をしています。
みなさん、建築や外構に捉われずに業種を広めていて尊敬いたします。
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トークセッションのスタートです。
内容は、
あなたにとってのアウトドアとは、
アウトドア提案における工夫、問題、課題、解決方法は
家、庭づくりのプロからスノーピークへの要望は
住宅、エクステリアにおけるアウトドアの可能性について
などの話が行われました。
スノーピークさんへの要望では、
これから分譲など手がけていくなら、建築主体ではなく、庭や外構の外回りを扱う僕らの業種と組んでほしいとお話をさせて頂きました。
僕にとってアウトドアとは、やっぱり自然の豊かさ、恵を感じることかなと思っています。なので、自然を感じるためには家中心で考えるのではなく、外回りから考える必要があるのではないかと思います。自然環境を読み取り、周辺環境や地形図を読み取ったり、そこの水脈環境も考え、それによって建物の配置や設計地盤高さも決めていく。建物を建てるだけで大地に負荷を与えてしまうので、水脈へのダメージが少ないように配置を決める必要があると思うのです。自然環境が豊かであれば自ずと人にとっても心地良さを与えてくれると思いますが、環境の大元の水脈環境を滞らすことで木々や弱まり、本当の自然の豊かさを感じることは難しくなると思うのです。木々が健康に生育することを前提に考え、そこに人の要望、生活動線を組み込んでいく。アウトドアな住まいの分譲地を計画するなら、自然環境を読み取り、自然素材を扱う仕事をしている庭や外構の業者と組んで欲しいなと、ちょっと偉そうに話をさせて頂きました。すみません。。。7
スノーピークさんの業界の垣根はなく固定概念にとらわれずに、自然と人、人と人の繋がり、人間性を回復させていく。
印象に残っています。
楽しく、勉強になるイベントでした。
声をかけて頂いたユニマットリックさんには感謝いたします。

 

大地の再生ワークショップ12月7、8日 in 静岡県菊川市

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昨今、自然災害による被害が増えてきました。それは、本当に自然災害でしょうか?!
本来の自然の機能があればあそこまでの被害が出なかったのではないかと感じてしまいます。
周りを見れば、宅地や道路はコンクリートやアスファルト、山や川もコンクリートで覆われてしまっています。
そんな状態では大地は呼吸できなく土中では水や空気の循環ができなく動植物も健全に生息できません。
木々が健全に生息できれば地中にしっかりと根を張ることができ、雨が降っても地表に水を一気に流すことなく、一度しっかりと地中に蓄えてからゆっくりと川へ水を流してくれます。
この機能があればあそこまでの被害が出なかったのではないかと感じます。
しかし、今の私たちの生活にはコンクリートやアスファルトは欠かせなくなってきました。
コンクリートやアスファルトを否定するのではなく、それらを使いながら土中にしっかりと空気と水の循環する水脈を改善しながら共存すればいいのです。
これからの住まいは、自然を力で抑え込むのではなく、自然の力を借りながら人工物と共存する住まいをつくる必要があると感じます。

そこで、今回は、新築住宅を建てるにあたっての一番最初に施す、敷地の水脈改善を学びながら作業をするワークショップを開催いたします。
建物が建つだけでも大地に負担が掛かってしまします。
その負担をケアしながら敷地を住みやすいように造成します。
大地の要である水脈機能を回復するための人と自然の協働作業ができればと思います。
ぜひ、お気軽に参加してくださいませ。

【日時】
2019年12月7日(土)9:00~17:00頃
2019年12月8日(土)9:00~17:00頃
現地9:00受付、9:30~講座開始
【会場】
静岡県菊川市牛渕
駐車場の場所がまだ決まっていませんので参加者に個別にご連絡いたします。
【スケジュール】基本的には雨天決行致します。
9:00現地受付、
9:30~ワークショップ開始
「大地の再生」についての座学、フィールドワーク
12:30頃〜昼食(1人1品ご持参ください。)
16:00頃~まとめ
17:00頃終了(延びる可能性有り)解散
その後、懇親会を開催するかもしれません。
なお、予定は変更される可能性はございます。ご了承ください。
【持ち物・服装】
昼食の1品
マイ箸、マイ皿、マイカップ
動きやすく、汚れても良い服装
作業手袋
長靴
雨合羽
帽子
タオル
水筒など飲物
筆記用具
移植ゴテ(ある方は)
スコップなど(ある方は)
ノコ鎌(ある方は)
【お申し込み・お問い合わせ】
事前に下記の内容を明記してメールもしくはFAXお願い致します。
・お名前(代表者と参加者全て)
・電話番号
・メールアドレス
・お住まい(都道府県と市町村のみで結構です。)
【遠方の方】
宿泊先などのご紹介、ご予約など遠慮なくお申し付けください。
【連絡先】
株式会社ナインスケッチ
contact@9sketch.com
電話:053-435-1235
FAX:053-435-1236
【主催】
株式会社ナインスケッチ
【講師】
天野圭介
パーマカルチャーデザイナー
アーボリスト
ラブファーマーズ企画運営

田中俊光
株式会社ナインスケッチ 代表取締役
一般社団法人大地の再生結の杜づくり 理事
矢野智徳さんは来ませんので、ご了承ください。

 

水脈のメンテナンス

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施工して1年半程経つ現場ですが、敷地内に水が溜まってしまうということでしたので水脈のメンテナンスをしてきました。
表土は硬く締まってしまい、水が十分に浸み込めない状態でした。
掘り上げると木々の根が侵入してないところは通気が悪く詰まっているような感じでした。
逆に通気が良い状態のところは樹木の細根がびっしりと張り巡らされています。
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その細根の周りの土は、しっかりと団粒化された土になっています。
水脈が土中の通気をよくし、そこに木々の根っこが侵入してくる。その根が更に通気を良くし団粒化していくという、プラスの連鎖を生んでいくことがわかります。
水脈づくりで使用した竹材にも細根や菌類がこべりついています。
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水脈も一度つくったら終わりという訳ではなく、日頃のメンテナンスが必要だと感じます。
しっかりとした施しをすれば、自然は答えてくれることもわかりました。
人都合だけでつくれば自然は反発してくることもわかりました。
木々や土が健全に生育してくれることがきっと人にとっても過ごしやすい環境になるのだと思います。
人優先の空間づくりではなく、自然と対話して庭をつくることが大切ですね。
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遠州浜の防潮堤で思うこと・・・。

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今日は、遠州浜沿いで個人邸の植栽工事でした。
そのお昼休みの間に海岸沿いを散策してきました。
道路から見ても松林は荒れているのがわかります。薮状態で林内は風も通らない様子が写真でもわかると思います。
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中に入ると想像通りにやはり荒れているのがわかり、そして木々には生命力が感じられません。
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折れている松も見られます。おそらく松くい虫に入られ幹の中は空洞になり強風時にそこからポキっと折れたことが想像されます。
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残っている松を見ても立ち枯れしているものやマッチ棒のような細く力強さは全く感じられません。
松は、建築では横架材として使われていたこともあり、根も深く張り、本来はとても力強い樹種です。だから、厳しい環境の海岸沿いにも植えられてきたのだと思います。
また、健康な松なら、他の樹種とは比較にならないほどの樹脂を幹内で流れキクイ虫なども追い出す力があるはずです。
そんな松が今は見るも無残な姿となっています。
これは、何が原因かと考えると、近隣の宅地化や道路網の開発が一つ考えられると思います。アスファルトやコンクリートで覆われ、地中にもコンクリートなどが入り込み空気と水の循環が乏しくなってしまったことです。空気と水が遮断されてしまうと土の中では酸欠状態が進み土は腐りグライ土になってきます。そんな土では微生物や小動物は生息できず、また樹木の根は張ることができず木々は弱ってしまいます。本来、木々の根が張ることで地中の空気と水の循環がよくなるのですが、その根が伸びることができないという負の連鎖によって今の状態になってしまったと思います。
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もう少し海側へ進みました。
元々あった松林を抜根伐採して作った防潮堤が見えてきました。
撤去した代わりに植栽された苗木たちです。
あまり元気があるようには見えません。
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人工的に作られた傾斜地は、表層で水を流し表土を流していきます。
これがどんなことを示しているかというと、しっかりと水が地面の中に浸み込んでいないということです。水が浸み込んでいないということは地中に空気も通っていないということです。水と空気は表裏一体で動きます。イメージしてください。ペットボトルの中の水が外に出たということはペットボトルの中に空気が入ってきます。
土も生きています。
人と一緒です。空気が必要なのです。
空気と水が循環するところに生き物が生きづける環境が生まれてきます。木自身も空気を求めて根を伸ばします。
微生物、小動物、木々の根などお互い相互作用をもたらしながらプラスの循環になり土も育ってきます。
土がやわらかく肥沃になってくれば根は張りやすくなります。根が張れば空気もよく通り生き物たちも住みやすくなります。彼らがまた土を肥沃にしていってくれます。
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自然の山は尾根と谷があります。直線的な勾配はなく流線型を描いています。
谷があることで地形に落差が生まれ水と空気の循環がよくなります。
谷間の存在が大きな働きをしています。
傾斜地を人工的に作るときも直線的ではなく、山の尾根と谷をイメージしながらかまぼこ型のように作ると水と空気がしっかりと地中に入っていくと思います。
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防潮堤の上に登ります。
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これが天竜川河口から浜名湖までの17.5km続いています。
自然の力を人工的に抑えることができるのか・・・。
中々難しい問題ですが、逆に自然の力を借りて自然と共存する空間づくりはできないものなのか。
松林も傷んだから、虫が入ったからといって安易に農薬散布や化学肥料を与えるのではな自然なメカニズムに習ってく根本的な中の空気と水の循環する水脈環境を整備してあげることが大切だと思います。
力強い松本来の姿を取り戻せば、コンクリートよりも強い防潮堤ができたのではないかと思います。

一般社団法人大地の再生結の杜づくりを全国の仲間と立ち上げ土中の通気浸透水脈改善を基本とした環境改善の取り組みをしております。
こちらのページもぜひご覧ください。
一般社団法人大地の再生結の杜づくりのホームページ

2019-03-20 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

2018 フライフィッシング in 広河原

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3年連続で南アルプス広河原にフライフィッシングに行ってきました。
OLYMPUS DIGITAL CAMERAがんこ祭りの実行委員もしているマツヤマデザインの松山さんとアウトドアの学校のコーチをしている通称チャーハンさん、共に僕のフライフィッシングの師匠とご一緒させて頂きました。
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テント場から歩いて10数分、昨年よく釣れたポイントからスタートしようかと思ったら、昨年はプールのようになっていた川の形状も水量が少ない。というか川底が嵩上げされた感じに思えます。
明らかに、写真上部のように土砂が流れ込んだ様子です。
数十m下流の方に目をやると
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ここにも砂防ダム登場です。
水脈上には流木がたくさん流れついています。これだけの量の流木が運ばれたということは土砂もかなり運ばれているはずです。
その土砂は、川底の目に見えない無数の通気孔にも泥をため塞いでしまったのではないでしょうか。
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そして、次の日は下流に行くとかなりの大きさの砂防ダムがどかーんと本流上に建設されています。
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コンクリートは地上に見えている部分だけでなく地下にも数m〜10m程度はコンクリートが入っていると思われます。
ここで空気と水が地中で遮断されてしまっています。
ここから上流に向かって流域上に空気と水が循環できずに詰まり始めます。
すると、その両脇の斜面の水脈も詰まってきます。
本来、抜けるものも抜けずに5年、10年単位で詰まり溜まるとガス化してきて斜面林全体が痛んできます。だから倒木も増え斜面の谷筋の流木が多く見られたのだと思います。
尾根部分も大気圧に押され入っていた空気も入って行かなくなる。空気が入らなければ水も入らず、水が表面を流れ出し土砂を運び川底に溜めていったのだと思います。
空気と水の循環ができずに起こった負の連鎖は、この砂防ダム、人の開発が原因と考えてもいいのではないかと思います。
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さてさて実際の釣りの成果はというと、今回はこれ1匹。しかも、こんな写真しか取れませんでした。
師匠2人もいつもより成果が出なかったようです。
天候も雨が振り悪かったのでお魚さんもお休みしてたのでしょうか。。。と思いたいですが、今までと空気の循環と地形が変わり、餌となる虫たちが住めない状況になり魚が減ってしまったのか、まだまだ開発が進んでいない上流の方に住まいを変えてしまったのか、と考えてしまいます。
最近、山に行くと純粋に自然を堪能できなくなってしまった自分がいます。大地の再生病ともいうのでしょうかね?(笑)
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釣りの成果は上がりませんが、フライフィッシングのもう一つの楽しみは、夜のパーティーです。
ジャックダニエルさんも加わり、各自持ち込んだ食材をシェアしたりして飲んでは食べて、喋って、楽しいひとときです。
今のスノピは〜、アウトドアメーカーの特徴を聞いたり、普段の生活には聞けない話で盛り上がります。
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夜は雨が降り、雨がテントを叩く音や風の音を聴きながら朝を迎えます。
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インスタントのコーヒーも美味しく感じます。
自然に触れ合うことがやっぱり楽しいし、癒されます。

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また、行きたいな。

今度は、釣りたいな。その前に自主練か〜!

2018-09-18 | Taged in | Posted in ブログNo Comments » 

 

『大地の再生』第5回連載掲載 エクステリアワーク2018年7月号

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連載第5回目では「空気のデザイン」について掲載されています。

2018-07-20 | Taged in | Posted in メディア掲載No Comments » 

 

『大地の再生』第4回連載掲載 エクステリアワーク2018年6月号 連載記事

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連載第4回目では「先人の暮らしの技術」について掲載されています。

 

『大地の再生』第3回連載掲載 エクステリアワーク2018年4月号 連載記事

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連載第3回目では「山と住まいの呼吸」について掲載されています。災害と身近な土中環境との関わりについてもふれています。

 

RIK SQUARE! 2017を終えて

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昨年2017年の11月に外構エクステリア、造園に特化するCADメーカーのリックさんに声をかけて頂いてRIK SQUARE!2017で広島と仙台で講演をさせて頂きました。
今更ですが、業界紙「エクステリアワーク」でその時の様子が載っていたので、改めて振り返ってみたいとお思います。
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23516035_10214060185080584_776656811_o広島会場はこんな会場で70名程来て頂き、始まりました。

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23484484_10214060185760601_1135908909_o仙台会場は80名程来て頂きました。
どんなことを話したが軽く触れてみたいと思います。
リックスクエア2017

自己紹介から始まり、なんで今の仕事スタイルになったということから話しました。
写真は、建築家吉村順三氏の軽井沢の山荘の入り口付近です。当時、建築のプランニングの仕事をしていた時、訪れました。「小さいな森の家」という吉村順三氏の本もみたりしていました。八ヶ岳倶楽部などにも好きで通っていたのですが、共通することは外の雑木林が心地良いということでした。そこで思ったのが、心地良さは、家の中より「外」にあって、自然の中に溢れているんじゃないかということでした。

リックスクエア2017  1そこで、僕は、住まいを「外」から考えることを大切に、自然を感じる心豊かな暮らしを追求していこうと思いました。特に、緑の力を生かした外回りから考える心地よい住まいや空間を外構や造園という立場から提案する仕事をしていきたいと思いました。
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今は、
『雑木の庭』と『地形を活かす外構デザイン』の2本のコンセプトを軸に取り組んでおります。
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『地形を活かす外構デザイン』のコンセプトでデザインしていくとプランニングの工夫で十分にコストダウンが測れます。外構の予算は住まいづくりで最後の方に当てられ予算を削られやすい分野です。その中で限られた予算で外構を仕上げていかなければならないのですが、材料や商品の質を落として金額を抑えるだけでなく、造園的手法などを取り入れれば金額を抑えることができます。
外構で費用が嵩むのは構造物を作ること、コンクリートを多用することだと思います。そこをなるべく少なくプランニングすることが一つコツになってくると思います。
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『雑木の庭』においては、雑木を植えていれば『雑木の庭』という訳ではありません。作り込む庭というよりは自然の植生に習って、樹種や配置、組み合わせを考えて自然に近づけるように庭をつくっていきます。写真は、軽沢高原の雑木林です。
こういう雑木林の風景が人には馴染みやすく心地よく感じると思います。この素敵な風景を作っているのは、色鮮やかに紅葉している木々だけでは作れません。写真では全ての枝葉が収まりきれない大きな樹木や低木や下草があります。全ての植物が欠かせないのです。もっというと落ち葉も必要なのです。高木が強い陽射しを遮ってくれ中木に優しい光を届けてくれます。低木や下草は高木類の根元などに強い日差しや強い風を遮ることもしてくれています。落ち葉までもが地面の乾燥を防いだり、微生物や小動物の住処を提供してくれたり、また、強い雨が直接土を叩かないように保護もしてくれています。お互い守り合いながら生息しているのです。全ての動植物があってこそ、この風景を作ってくれています。一つも欠かせないのです。人の社会も同じだと思うのです。人はやはり1人では生きていけません。また、誰かを追い出すのではなく、みんなで無い力を補いながら生きていくべきだと思います。自然界も同じです。木1本では生きていけないのです。木も本来はいらない木は無いと思うのです。
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だから、一般住宅のお庭でも同じように植え付けることが必要となってきます。
高木、中木、低木と階層的に更に密植して混植してあげることが大切です。
すると、木が健康的に生育しやすく、僕ら人にも心地よい空間を与えてくれます。木々に囲まれれば、微気候改善もでき、夏でも過ごしやすく、冬は日差しを取り入れ暖かく過ごせます。
緑など自然の力を借りた方が心から豊かさを感じられる暮らしができると思います。
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しかし、自然に習った植栽をしても木が傷み出すことがあります。植栽するときは、地上のことだけでなく地中も考えてあげなければなりません。
今、僕は、『大地の再生』という活動をしてますが、地上には風が吹いたり雨が降ったりする空気と水の対流があります。それが地中の中にも同じように空気と水の循環があるということです。しかし、今のコンクリートやアスファルトに覆われた現代土木や建築の中では、空気と水を通す水脈が滞っている状態です。
そんな中でいくら土壌改良や肥沃な土を入れ替えたり肥料を与えたりしても意味がないのです。
地中に空気と水が循環できるような水脈改善をする必要があります。
表層地質と土壌と地形と大きく関わりながら、有機的な空気と水の循環が生み出されるところに動植物が呼吸できる環境が生まれてきます。傷んでいる木も地中の空気と水の流れを改善してあげれば植物の根の呼吸も再開し元気になってくるのです。
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最後に、大きなテーマですが、外構や造園に捉われない提案をこれからしていきたいと話をさせて頂きました。
心地よい住まいや空間を提案していきたいという思いで、『雑木の庭』と『地形を活かす外構デザイン』に取り組んでいるつもりですが、これからはこれに加えて『心豊かな暮らし方』の提案もできればと思っております。
物も豊かで手に入りやすい時代になりましたが、それが本当に幸せか、心まで豊かな暮らしかというと疑問に感じることもあると思います。
人都合の考えで空間づくりをしてきた結果、自然環境は荒れ、災害なども起きはじめてきています。これからは、自然に寄り添った空間づくりや暮らし方が必要だと思います。それが結果、人にとっても過ごしやすい環境になり豊かさを感じられることになってくると思います。