2014-07
目白『徳川ヴィレッジ』〜明治神宮
先日、東京での打合せの帰りに目白にある『徳川ヴィレッジ』訪問してきました。ちょうど、同時期に高田造園設計事務所の高田さんも訪れてたようです。高田さんがブログで詳しく紹介しておりますのでこちらもご覧下さい。高田さんのブログはこちら。というのも高田さんに以前に「東京で緑が豊かで見ておいた方が良いところ有りますか?」とたずねて教えて頂いたところなんです。確か1年位前にお聞きしてやっと拝見できました。
写真の用に緑というよりも陰が豊かだな〜という印象でした。でも、その陰は樹々が造ってくれています。
その樹々は家よりも背丈はずいぶんと高く、どのお宅も敷地の境界は塀と門扉で閉ざしていますが敷地内と敷地外の緑が繋がっています。クローズなのに閉ざされた感が全くなく圧迫感も感じません。このエリアが一つの別世界、森のように感じます。
先日、静岡県が提案する『家・庭一体のすまづくり』のセミナーに参加してきました。静岡県で担い手になれる業者を登録してそれを県民に提案できるよう家と庭が一体になる住まいを広めていこうとする内容でした。
でも、担い手として登録出来る業者の条件としては、写真のようで、ぼくは、二級建築士はありますが建築士事務所登録はしてませんし、他の項目でも該当するところはありません。もう少し、建築主体というよりは、庭や外構から考える視点も取入れて欲しいなと思います。考え方は様々ですが、『徳川ヴィレッジ』も家というより樹木がその環境を造っています。樹木があれば木陰ができます。そうすれば自然とコモンスペースも生まれると思います。いつも、ぼくは機会があれば話すのですが、『心地良いと感じるのは自然の中に溢れていて、家の中より外にあります。」考え方は人それぞれですが、ぼくはそこを信念だと思い仕事に取り組んでいます。住まいを外から提案したいと思っています。建物配置でも樹々は四方に入るように斜めに振ったり、間取りや開口部に関しても外(緑)とのつながりや風の誘導など外から考える、外との繋がりを意識して住まいを考えたいと思っています。
ちょっと、話しは脱線しましたが、『徳川ヴィレッジ』の次に明治神宮にも行ってきました。
ここは、すばらしい森ですが人工林なのです。林学博士、造園家の本多静六氏などが造りました。勤めていたランドマークプランニングの社長がよくこのDVDを見せてくれました。当時、総理大臣・大隈重信からの「伊勢神宮や日光東照宮のような杉林にしろ」という指示に反対し、粘り強く説得したというエピソードがあるそうです。造った時が完成でなく50年後、100年後、更にその先を見据えての森作りを本多静六氏は考えていたみたいです。
ここから林内を散策できるよになっています。
中に入ると一気に涼しく感じます。
高木の下で育つモミジは精彩で美しいです。
しばらく歩くと、加藤清正が掘ったとされる湧き水があります。これも今の時代まできれいな水が湧き出るのは豊かな森が生んでくれたのでしょう。
今、目の先のことだけでなくその先を考えた提案が必要だと改めて感じました。そして、外構造園業の可能性と責任の重さを痛感したところです。日々日々、勉強しなければなりませんね。
掛川市外構|高低差をデザイン
緑陰と人工物日陰内での休憩による感情状態の変化
今の時期日射しが強く、外にいると日陰を求めたくなります。そこで、ちょっと面白いデータがあるのでご紹介します。
『緑陰と人工物日陰内での休憩による感情状態の変化』のグラフになります。黒丸が緑陰白抜き三角が人工物日陰を現しています。「活気」のところを見ると緑陰は上がります。人工物日陰は下がります。「疲労」を見ると緑陰は下がり、人工物日陰は上がります。
ここから分かることは、仕事などをして緑陰で休憩した後は、『さあ〜休憩終わり、次の作業もがんばるぞ!」と活気が上がり、疲労も回復します。それに対して人工物日陰では、『もう、休憩終わりかあ〜、やだな〜。」と活気は下がり、疲労が抜けないのです。緑陰と人工物日陰では、休憩後の気分に大きな違いがあるのが明らかです。
緑はなんとなく心地良いなと癒してくれるものだと感覚的には誰もが分かっていたことだと思います。更に、今ではこうやって科学的なアプローチが進み数値化され、緑の効果が解明されてきました。やっぱり緑は私たちに快適な環境を与えてくれるのです。だから、外構や庭を提案させて頂く時には、なるべく多くの緑が入るようにプランニングします。植栽が入れば金額も増しますが他で見劣りはしないような経済設計をして植栽に予算がまわるようにしております。朝、出勤前に木陰のアプローチを通れば「今日も仕事がんばろう!」そして、帰宅した時には緑に癒されると思うのです。見た目だけで緑を扱うのではなく、感覚的な効果のためにも扱いたいです。そして、住まいや職場、医療施設にも多くの緑が取り入れられることを望みます。
門袖はなしで・・・。緑を中心に
外構工事で費用がかかる項目は、ブロックやフェンスなどの構造物を造ることになります。土工事から基礎工事、ブロックを積み装飾工事となると工程もかかります。しかし、お金を掛けてそれらを造っても見栄えの良い門廻りができるとは限りません。緑が多く入った方が門・アプローチ廻りは心地良く感じ景観もよくなると思います。そこで、今回ご提案させて頂いたのは門袖は無くし植栽で顔を造るようにしました。緑は季節や時間帯でも表情を変えてくれる優れものです。玄関廻りには欲しい材料の一つです。
表札は、景石変わりに切り石を据付けそこに切り文字の表札を取付けています。表札が少し低い位置にありますが目は付くはずです。石であれば工程は少なくすみます。また、この石は石屋さんでは商品にならない端材を見つけてきたもので特別高い物ではありません。見た目も良くコストも抑えられて一石二鳥です。エクステリアの商品の組合せで計画する発想ではただ単にカタログを見て安い商品を選ぶことしかできません。お金がないからこれしか取付けられない。となると残念に感じますよね。御施主様から預かった予算をむやみに使う訳にはいかなのでちょっと考えさせて頂きました。
浜名湖花博『雑木の庭と共に暮らす』〜解体工事〜
先日、浜名湖花博に出展した庭の解体工事が完了となりました。解体工事というより撤去と言った方がいいかもしれません。今回は出展前から最後は更地返しすることが決まっていたので材料は全て再利用できる素材で計画しています。
まずは、低木・下草類やコケの撤去です。手作業で丁寧にポットに移します。
次に重機を併用して樹木の撤去です。樹々を寄せて密植しているので近いところは手作業になります。
春に植えた樹木はこんなにも細根を出していました。樹木の力はすごいですね。植栽の際に支柱をしない理由がこの写真でも分かると思います。密植し支柱をしないのはいずれお互いの根が絡み合い一つの木立としてびくともしなくなります。支柱をしない分、樹は風に揺れます。揺れることで倒れないために自ら根を張ろうとしてくるのです。また、津波対策で宮脇昭先生が推奨する『緑の防波堤』が有力だと思うのです。自然の力、根の力は強いのです。
住まいに見立てて建てた小屋はエフベースさんが引取りに来てくれました。
アプローチと小屋前の作業スペースに使用した舗装の三和土仕上げは砕いて土に戻します。雨が降れば水を吸ってくれます。夏場には水を打てばそれが蒸散して自然冷却として効果を発揮してくれます。本当に優れたものだと思います。タイルやコンクリート二次製品などお金を出せば良いものができる訳ではありませんね。快適な過ごしやすい住まいの空間を考えての素材選びが大切だと思います。
整地して終了です。
花博で使用した樹木、写真の用に新しい現場で息を吹き返しています。現在雑木の庭を施工中です。新しい雑木の庭もまたの機会で紹介させて頂きます。