2016-05
大地の再生講座 in 浜松天竜 6月25、26日開催決定
全国各地で開催されている『大地の再生講座』を「杜の園芸」矢野智徳さんを講師に迎え、浜松天竜で開催致します。
人間には血を流す血管があるように大地には水を流す水脈というのがあります。血管が詰まると人間は死んでしまうように水脈が詰まると大地も死んでしまいます。
水脈の水の流れは空気と表裏一体で動いています。水脈が詰まると水は滞り空気も停滞してしまします。
空気がなければ酸欠状態になり土は腐り青みがかった灰色のヘドロ化した土になり、微生物や小動物は住めなくなり、ましてや樹木の根は伸びていけません。
昔は土や木や石など有機的なものを使って空気が通るように自然に寄り添って空間づくりをしてきましたが、現代はコンクリートやアスファルトなど人間都合の開発がされています。
コンクリートでは水脈は遮断され、大地は呼吸ができなくなってしまいます。今、大地は悲鳴をあげている状態です。このままでは、山の樹々は枯れ始め、土砂崩れなどの災害も増えてきてしまいます。
でも、「まだ間に合う、でも、今やらなければ手遅れになる」と矢野さんはおっしゃいます。
しかも、移植ゴテ(小さなスコップ)一つから大地の改善ができます。
そんな、術をみなさん、一緒に学びませんか!共に大地を再生していきましょう!
造園、土木、農業、建築などに関わる方、自然や山、アウトドアが好きな方、どんな人でも興味があれば来て欲しいです。作業できるか心配な方は見て、聞いているだけでも出来る範囲で構いません。矢野さんの話す一言一言を聞くだけでも勉強になります。是非、気軽にお越し下さい。
学ぶフィールドは、天竜の山できこりをしている前田剛志さんの山「kicoroの森」です。前田さんは「TEDxHamamatsu」に出演されています。こちらをご覧ください。
ここは、室町時代から続く集落で、築200年は経っているという古民家もあります。古民家の西側には石垣と一体化した樹齢500年の杉もあります。これを見るだけでも価値有り。先人達が自然と共に暮らした知恵が詰まった里山になります。そして、前田さんは、この山を今までの人工林ではなく100年先の地域の人たちにも必要とされる森を創りたいと話しています。
【日時】
2016年6月25日(土)9:00~17:00頃
2016年6月26日(日)9:00~17:00頃
8:30に天竜二俣駅駐車場集合
現地9:00受付、9:30~講座開始
(集合場所からの移動を乗り合いでお願いしたく思います。)
一日でも参加可能。
多様な環境改善を見れる二日間続けて参加をおすすめ致します。
【会場】
浜松市天竜区石神98
集合場所は天竜二俣駅の駐車場
【参加費、その他費用】
1日5,000円
2日間10,000円
昼食1日目、2日目共に1食1,000円(ご自身で準備されてもOKです。)
飲物は各自で準備してください。会場近くには自動販売機はございません。
宿泊費1泊朝食付き2,500円(雑魚寝になります。寝袋持参ください。男女部屋は分かれます。)
【スケジュール】基本的には雨天決行致します。
1日目
8:30に天竜二俣駅駐車場集合
9:00現地受付、
9:30~講座開始(座学、作業)
16:00頃~まとめ
17:00頃終了(延びる可能性有り)解散
その後、宿泊の方は、あらたまの湯でお風呂に入り、金増屋で宿泊、懇親会となります。金増屋で夕食を兼ねて懇親会(料金別途)をしたいと思います。
持ち込み可能です。差し入れも歓迎です。(笑)
2日目
8:30に天竜二俣駅駐車場集合
9:00現地受付、
9:30~講座開始(座学、作業)
16:00頃~まとめ
17:00頃終了(延びる可能性有り)解散
【お風呂・宿泊先】
お風呂:あらたまの湯
住所:浜松市浜北区四大地9番地の921
電話:053-582-1126
午後9時まで(午後8時で受付終了)
あらたまの湯でも食事できます。
宿泊先:金増屋
住所:浜松市天竜区二俣町二俣388
雑魚寝になりますので、各自寝袋ご持参ください。男女別部屋で準備致します。
金増屋には、シャワーはありますが、お風呂はありませんので、ご了承ください。
【持ち物・服装】
作業できる服装
作業手袋
長靴
雨合羽
帽子
タオル
水筒など飲物
筆記用具
寝袋(泊まる方は)
移植ゴテ(ある方は)
スコップなど堀り道具(ある方は)
ノコ鎌(ある方は)
【お申し込み・お問い合わせ】
事前に下記の内容を明記してメールもしくはFAXお願い致します。
・お名前(代表者と参加者全て)
・電話番号
・メールアドレス
・お住まい(都道府県と市町村のみで結構です。)
・参加日
・食事の有無
・宿泊の有無
主催者及び連絡先
株式会社ナインスケッチ
contact@9sketch.com
電話:053-450-7057
FAX:053-450-7058
「kicoroの森」前田剛志
【矢野智徳 プロフィール】
1956 年福岡県北九州市生まれ、花木植物園で植物と共に育つ。東京都立大学において理学部地理学科・自然地理を専攻する。全国を放浪して各地の自然環境を見聞し、1984 年、矢野園芸を始める。
1995年の阪神淡路大震災によって被害を受けた庭園の樹勢回復作業を行う中で、大量の瓦礫がゴミにされるのを見て、環境改善施工の新たな手法に取り組む。1999 年、元日本地理学会会長中村和郎教授をはじめ理解者と共に、環境 NPO 杜の会を設立。
現代土木建築工法の裏に潜む環境問題にメスを入れ、その改善予防を提案。在住する山梨県を中心に、足元の住環境から奥山の自然環境の改善までを、作業を通して学ぶ「風土の再生」講座を開設中。
~「大地の再生講座 結の杜づくり」に向けて~
日本の各地で、
傷んできた大地の再生講座をひらかせてもらうようになり、
大地の再生は、関わる四者の結い作業(協働作業)によって
成り立ってゆくものだと 改めて思うようになりました。
一. 杜の園芸
二. 講座の参加者
三. 講座で関わる地域(人社会)
四. 講座で関わる自然(生き物社会)
杜の園芸と参加者の方だけのギブ&テイクでは終わらない。
その学びと改善の余波は、直接流域におよび、
その場とその周囲に影響し合う責任を
問われてゆくことになるでしょう。
“結の杜づくり”
それは、まるで おまつりのおみこし担ぎのよう。
−− 誰かがつかれたら誰かが入れ替わり、
力のある人・ない人 それぞれに力の流れをつむいで
おみこしは進んでゆく。
命の作業は、
あわてず、あせらず… ゆっくり急げ。
人だけが楽しむのではなく、
みなが力を出し合う、ささやかな結い作業によって
命はつながってゆく。 −−
それは、小さな動きから大きな動きまでが連鎖してゆく
自然の生態系の動き・流れそのものに重なります。
そもそも「杜」の語源とは、
−− 人が森の神に誓って
「この場を、傷めず、穢さず、大事に使わせてください」
と祈りを捧げて、ひも(紐)張って囲った場、を意味する和語 −−
と、ある本に記されていました。
この大地の再生講座(学び)が
願いや想いだけにとどまらず、具体的な
大地の要である水脈機能(大地の空氣と水の循環)を回復するための、
人と自然との協働作業(結)として
一歩一歩つむがれてゆくことを願い、
今年もスタートしていきたいと思います。
杜の園芸 矢野智徳
関連記事
・呼吸をしている限りは、まだ間に合う。大地の再生
・風土を再生する〜里山整備の視点
富山県砺波平野 屋敷林のある散居村を訪ねて
水を張った田んぼに屋敷林に囲まれた農家が平野の一面に点在する風景は緑に覆われた多くのコジマが大海原に浮かぶような姿にも見えます。
夕日を浴びて鏡の様に田んぼが反射し、より美しい表情を見せてくれます。
ここは、『高(土地)は売ってもカイニョは売るな』という言葉が昔から伝わる富山県の砺波平野。5月の連休を利用して行ってきました。
カイニョとは、屋敷林のこと。家の廻りに林をつくり家と共に大切にされてきました。
富山県砺波平野は、庄川や小矢部川が運ぶ土砂の堆積によって形成された豊かな水と肥沃な土に恵まれた扇状地であります。
開拓が進むにつれてどの家も周りの水田を耕作することができる稲作に便利な散居の形態をとる村が多くなり、更に、加賀藩は散村集落の形態と屋敷林の存在に理解を示し、散村の存続が拡大しました。
ここで、屋敷林についてふれてみます。
屋敷林のことを『カイニョ』などと言われ、近世文書では『垣根』ひらがなでは『かいね』と書かれ、田畑での境を言われることがあったそうです。散居村のカイニョは、もう少し広く解釈をし、「住居があって、その外側に耕作地があって、その間をルーズな地帯としての境界」と考え、そこに植栽された「垣根」カイニョとされていたそうです。
家は冬の強い南西の季節風を避けて東向きに建てられていました。東側の前庭は農作業に使うため適当な空間を確保しながら庭木や果樹、花木を植え、柿の木は必ずあったそうです。
南と西側にはスギやアテなどに混ざって竹があり、林床にはヒサカキやアオキが自然に成育し、ドクダミやゲンノショウコ、オウレンなどの薬草も自然に生えていました。
スギは、冬の厳しい風雪から家を守り、暖かくなり、夏には強い日射しを遮り、涼しくなる。また、空気を浄化し、その殺菌作用により家の腐敗を防いでくれます。また、建材としても改築する時の材料となっていました。落ち葉はスンバと呼ばれ、掃き集め乾燥させ、焚き物とされていました。水田地帯では山が遠いので貴重とされていた。
竹は、湿気を吸ってくれ、スギなど違い1年で伸びきり、中は空洞で適当な間隔で節があり、軽くて弾力性があり強いので、農具や日用品などの材料とされていました。また、春にはタケノコを食べたり、竹馬、水鉄砲、竹トンボなど子どもの遊び道具もつくっていました。
ヒサカキなどは神棚にそなえ、柿は馬をつなぐことと秋には実がなりそれが子どものおやつとなっていました。
林床は植えたものや自然に侵入してくるものあり、ツワブキやユキノシタ、ドクダミ、ゲンノショウコ、オウレン、オオバコなど薬草として、ウド、フキ、セリ、タラノメ、ミョウガ、ヨモギ、ヨナメなどは季節の食膳をにぎわしました。
また、屋敷林は子ども達の絶好の遊び場でもありました。木登り、木に縄を掛けてブランコにしたり、かくれんぼ、昆虫採取、枝で、ちゃんばらごっこやおままごと。そして、落ち葉掃きは子どもの大切な仕事でした。家族との共同作業を通して家族としての絆が一層強められたりもしました。
このように人々の暮らしに屋敷林は欠かすことのできないものでありました。そのため屋敷林は大切に守られ、よほどのことがない限り伐られることはありませんでした。屋敷林そのものがその家の富と格別の象徴でもあったのです。
砺波平野の長い歴史と風土の中で生まれた屋敷林は、先人達が自然と共生をはかった知恵の結晶であります。また、様々な生物の生息場所とし自然生態系を維持しているだけでなく、温暖化防止なども担ってくれています。様々なことをもたらしてくれるものだと再認識し後世に残していかなければならないと思います。
この、美しい風景は、先人達が造ってくれたものなのです。
富山県砺波平野の散居村のような風景は他の地域ではほとんど見られなくなった日本らしい農村の風景の一つだと思います。人がつくったものが、こんなにも美しく心の奥底にまでも訴え、癒してくれる力があります。
昔の人は自然に逆らわず自然に寄り添った開発や空間づくりをしてきたのです。人間都合を優先に考えていないことが結局は素晴らしい景色をつくることだと教えてくれているのです。
ある報告では、こんなこともあがっています。
「昭和40年代後半から各地で圃場整備事業が導入され、不整形な屋敷やあぜに囲まれていた川の改修、農道の整備などが行われた。用排水路はU字溝を敷設したり三方コンクリート造りとなった。これによって地下への浸透水が減り、遊水区域もなくなった。地下の水枯れからかつての屋敷林の主木であるスギの立ち枯れが急増したし、マダケの開花、そして枯死現象も起こった。」
これは、明らかに、土中の水と空気の流れを滞らせているからだと思います。地下には、人間の毛細血管のように水と空気を流す水脈が張り巡らされています。U字溝や三方コンクリート造りの水路では表面の水しか受け止められず、ましてやコンクリートによって地下の水の流れを留めてしまいどんどん環境悪化となってしまいます。自然を無視してつくる現代土木が環境を壊しているのです。これと合せて、屋敷林に住む人からは、屋敷林を育てていくには技術や労力不足、経費がかさむなどの悩みも多く、家の改築や庭の整備の度に年々姿を消してることが現状であります。
このように新興住宅が増える地域もみられました。
このままでは、開墾が始まった500年前から続くこの風土、景色がなくなってしまいます。次世代につなぐために今の景色は先人達が造ってくれたものということをもう一度思い返しすことが大切でしょう。
話しは変わりますが、6月25、26日には全国各地で開催されている『大地の再生講座』を浜松天竜で開催します。
講座を開催するフィールドは天竜の山で、そこは、室町時代から続く集落で築200年は経っていると思われる古民家もある里山になります。ここも、先人達が自然と共に暮らしていた知恵がたくさん詰まった里山になります。
昔の人の自然と共にした暮らし方を感じながら、大地の再生の仕方を一緒に学びませんか?!詳細は追ってご連絡致します。