2021-01

大地の再生講座 in 牧之原市を終えて

これからは、各地域で、その地域の特色を活かした地域に根ざした活動にシフトしていくことを目的の一つとして一社)大地の再生講座結の杜づくり昨年6月に解散しました。
その後、大地の再生講座に参加したことがある菊川市議員の倉部さんの働きによって、僕自身は、菊川市議員会が運営する総務建設委員会で大地の再生の話をさせてもらう機会を頂きました。
118376212_948782315634214_7226936891312444762_n
118359978_337080820811319_9195725354485912471_n
土砂崩れを起こした菊川市の和田公園の現状を題材に話をしたり、矢野さんが視察に行った九州熊本での被害の報告もさせて頂きました。
IMG_0013
菊川市和田公園の土砂崩れ、九州熊本の災害どちらにおいても、人工構造物が水脈機能を低下させ、それが災害の引き金になっているのは間違いないと言っていいと思います。自然本来の水脈機能を理解しないまま土木工事が進められてしまっています。それを早く、土木視点に注意事項として天災、防災の情報の中に入れないと被害が拡大してしまうと思います。しっかりと研究情報の中に入れれば災害は防げるのではないでしょうか。数値化されていないから排除していくのではなく、生の現場が教えてくれることを感じとり、対策していかないともう先が見えなくなってしまいます。流域災害がもうこれから先は必然的に起こってしまうのではないかと予測されます。
これからは、昔の人がくわ一つで、里山を水切りして自然の機能に沿って水脈を整えていたように、それをもう一度地域ごとでやっていく必要があると思います。
そう、思っていた頃、僕の住む菊川市の隣接市の牧之原市でmori to umiさんの森で矢野さんを招いての大地の再生見立て講座が開催されました。
IMG_9755
年末の忙しい時期に我々含めて40名近くの人が集まりました。今の環境悪化に関心をもち、それにどうしていけばいいのか悩み不安を抱えている人の多さの現れではないかと思います。
それぞれの自己紹介から始まり、いよいよ、講座の始まりです。
矢野さんから地図データの解説から始まります。
敷地周辺図
mori to umiさんの森は、赤丸のところで、谷筋に沿って水脈と同じように人の動線、道路や宅地が開発されてしまっているその丘の上にあるのが分かります。
地図上の+のところが大谷でここが沼地化されています。谷から水と空気が淀み抜けていないようだと以前写真をみて伺えます。
この谷筋である水脈を中心に見てその谷から奥につながる斜面、更に奥の尾根へと見ていきます。。この谷筋が詰まった時、谷と斜面と尾根がどうのような連鎖反応をしているのか、今日、これから中に入り見て感じてもらいます。と矢野さんから話がありました。
敷地広域周辺図
もう少し、広い地図を見ると、牧之原台地が起伏地形をもって人の生活と自然が入り組んで活用されている地域と言うのがわかると思います。谷筋を縫うように見ていくと見事な曲線が描かれ谷がえぐられている地形の中に緩やかに牧之原台地の特有の光と風を浴びてお茶畑が広がっているのが読み取れてきます。
地形水系図 修正版
この図は、表層地形に張り巡らされいる水脈デザインで、要は目に見える川になります。これが大地の中にも体と同じように入り組んだ水脈ラインができています。下草から高木まで植物の根と連動して大地の中の土壌や地質の層にこの空気と水の血管網ができ、高低差によって循環しています。人の血管が脈で循環しているように大地の中を空気と水は上流から下流に緩やかに耐えることなく動き続けていて、それが地上と地下の対流を層をなして生み出しています。
地方図
天竜川や大井川などの河川を中心にこの脈が高山帯の南アルプスを含めて上流域まで繋がっているのがわかると思います。脈のどこかで不具合を起こせば、流域全体が不具合を引き起こすことになってしまっています。
海岸線での松枯れや山林のナラ枯れ、また、上流高山帯での斜面の崩壊や尾根の乾燥、森の下草から高木層の植物の傷みが水脈の循環機能の低下と繋がっているのです。
また、このミクロ版がこの里山であります。ミクロもマクロも相似形として水脈機能、生態系機能は連動しているのです。

この地図情報を頭に入れて実際に生のフィールドを見ていきます。
IMG_9601
里山に入る前に、宅地内の庭に目を向けます。
写真向かって右側の柏の木が元気がないと矢野さんは話します。柏は冬でも葉が枯れても葉っぱは中々落とさずにずっとついています。そうは言っても枯れるのは他と比べて早すぎる、また、葉っぱの付き方が枝に密集ガチに思え、土中が詰まっているように思えます。
IMG_9604
庭から里山へ向かう園路の土の表情を見て、泥あくが発生し水の浸透が乏しいことを指摘したり、庭とみかん畑の境界の側溝を見ては、側面のRCだけで底にはコンクリートがなくまだまだ改善の余地は十分にあることを確認し、里山へ行くまでも庭やみかん畑のどこがどんな表情で悪く、それが何が原因なのかを解説しながら進んでいきます。
園路に植えてある桜を見ては、元の太い幹が傷み弱ってきて、その代わりに根元からひこばえを出しいます。これは、深いところの根が苦しく息ができなく弱ってきている。表層の空気が循環しやすいところのでの根が張って、深いところの根が衰退するのをカバーするようになんとか一生懸命拡げて、この木全体で生きようとしているのです。これは、そこの側溝の泥詰まりや園路の水が表層で走りすぎることを抑えれば回復してきます。
IMG_9607
写真は谷間の沼地化されたところです。この頃はしばらく雨も降っていなく土は乾燥しています。
しかし、木々は荒れ風通しも悪く、心地よさはあまり感じられません。
84475199_592449358267932_6857424963243081728_n
83050558_2594573247494718_1907213655519264768_n
82974835_489763498609538_6067706436014571520_n
雨が続くと水は浸透せず淀みが生まれ空気感も滞る感じがします。
これを、一気に戻そうとすると大変ですが、できるところから点で穴を掘るなどコツコツと大事に作業をしていけばプラスになって行く速度でつむいでやっていくと数十年位のマイナスが1年2年でプラスに転じてきます。その時に人が全てをやろうとするのではなく、大地と生物と気象の循環機能に沿って手を入れれば、人の作業を応援するように大地と生物と気象もスクラムを組んで応援してくれるように桁違いに変化してきます。
昔の人はこの作業を感覚的に捉えて日常的に手作業で循環型に収めていました。まだまだ、機械も便利な道具もない時代に、循環型や生活を自給的に営めていました。昔の古地図を見ても田んぼや畑の広さは変わっていません。それを機械や道具のない時代に営めたのは、自然の水脈機能に沿った手の入れ方をし自然を見方につけていたからできたことです。
今では、水脈機能を無視した、人の都合で機械が作業しやすいような道を通したり、材料を変えてしまいました。その結果、自然は応援しなくなり逆に反発するようになってしまいました。それをまた力で抑えつけてしっているのが現状です。昔の人がやっていたような視点を大切に雨や風がやってくれているような機械作業をすればコンクリートも否定せずに共存もできるはずです。
今の道具や材料、また、ここにある資材なども大事に使ってそれぞれが相乗的な力が働くような水脈機能に沿った空気と水の循環を生み出すような作業をしていけば全体が急速に蘇る力をもっています。
IMG_9608
谷筋の奥に進みます。
谷が合流してため池ができている急な斜面に、自然林のシイノキと植林した杉とそこに竹が進入してきています。今は、それぞれが競い合い喧嘩をするような関係になっています。この3つの植生が競い合わない関係は、この谷筋を中心に空気と水が循環する水脈を修繕していけば全てが大人しくなり、それぞれが息ができお互いが認め合うような群落を作り出してきます。
また、空気と水の循環がよくなればその循環に見合う植物が残り、暴れるようにここに繁茂してきた植物たちはいなくなってきます。逆を言えば、今はこの水と空気循環にあった竹がここを支えてくれているのです。大地は、空気と水の循環を保つために次々に新たな植物を生み出しているのです。でも、水脈機能が回復すると後からやってきた植物は役割を終えていなくなってくるのです。
今の現状は、脈が詰まり、大きな点穴であるため池も詰まっています。ため池のヘドロが回復されるように脈を開いてあげ、ため池に繋がる谷筋を点と線でつないでいけば見る見るうちに変わってきます。それを今度は、応援するように動植物が息づきをつないでいってくれ、そして、大地の土壌の粒状も変わり進み粘土化が後退し、乾燥化止まり、空気が通りやすい団粒化の土壌になれば一気にプラスの連鎖が生まれてきます。
この脈の機能を回復してあげるだけで、上の目に見える尾根線までもが変わってきます。そこを直接手をいれる作業をしなくても変わってきます。でも、その水脈機能に沿ってしなければ意味がなくなってしまいます。
IMG_9613
尾根に着くと、立派なシイノキの照葉樹林帯が広がります。林冠はシイノキらしい枝葉が毛細血管のように光が入り込むように棲み分けされ、感動させられます。
しかし、よく観察すると幹は痩せ細り、下枝はなく、食害され枯れている部分も多く見られます。
IMG_9615D
地面へと目を向けると、土は乾いて乾燥し、硬くしまっています。歩いてて足の裏の感触でもわかる位です。本来は、このような照葉樹林帯は落ち葉が積もりフカフカな状態になっているはずですが、それが土が直接見えてしまっています。こうして腐葉土層が発達しなくなり、表層乾燥をおこし、尚且つ地面が締まり硬くなり、空気が通りにくくなる状態が斜面から尾根にかけて広がっています。逆に谷は粘土でベトベトしています。この通気不全が植物の枝葉の傷み、山の傷みとして現れています。植生は傷み、山は地形崩壊となり流域災害に広がってしまっています。要は、辿っていくと人が造った人工構造物が脈を傷めているのが見えてきます。そこの部分の詰まりを解消するように手を入れてあげるだけで生態系は見る見るうちに回復してきます。谷の詰まりを解消していけば地面は柔らかくなり、落ち葉は積もり、下草も生え、傷んでいった木々も幹から胴吹きして新たな枝が回復してきます。発芽しきれなかった地面に落ちた種も発芽してこの森の息づきがつないでくれてくれます。
谷の作業をするだけで尾根まで繋がり生態系の連鎖が働くようになってきます。こんなに傷んだからもう手に追えないのではと諦めなくても大丈夫です。
IMG_9623
谷を中心に水脈機能を改善するように大掛かりな労力をかけなくても定期的にコツコツと手を掛けれれば十分にここの里山は回復でき、人と自然が共存する生物多様性の里山が復活できはずです。と矢野さんは締めてくれました。
IMG_9626
昼食を挟み、急遽重機も搬入しみんなで荒作業しました。
IMG_9638
矢野さんによるイノシシのように掘った点穴や横溝に枝葉を戻していきます。

最後に矢野さんからのエール
できるところからできるエネルギーでコツコツとやってみれば、自然が応援してくれこの息づきが広がってくるはず。
ある意味、闇雲にやってみること。すると、何が硬くなって、何が軟らかくなってくるのか、そこにはどういう差があるのか。どの程度やればいいのか感覚が育ってくる。
頭で考えるよりまずは体を動かし、大地と対話しながら作業することが大切。
作業の結果、風景が痛々しくなったか、息づき軟らかくなったか、この差を大事に見ていく。
泥ぼこりが出てるか、消えるか。水たまりが残るか消えるか。
縦と横の見えない脈をつないでいくと何かが変わってくるのがわかる。それを継続すると、だんだん育ってくる。
身近な人から集い大地が呼吸できるように空気を通す作業をつないでいってもらえたらいいと思います。今日の作業を足掛かりに育んでいってもらえるといいです。

今回の矢野さんを招いて開催した大地の再生講座をきっかけに、鈴木さんとは、このフィールドで、空気を通す作業を繋ぎ里山を改善できたらいいですね。と話をしています。
矢野さんが言うように、今の人工構造物がきっかけで、空気不全が起こり、様々な自然災害が発生しているのは間違いないと思っています。
これからの時代に大切になってくるのはやはり空気視点だと思います。
また、空気を通すための感覚も必要になってくると思います。数字や理論では中々証明し辛い空気を感覚的にデザインすることは、反復作業が大切だと思います。
みんなで一緒に作業し、学びを深めながら里山を再生し、その良さを体感できれば、大地の呼吸の大切さが証明できるのではないかと思います。
また、近いうちにワークショップが開催できたらと思います。